金井夕子
金井夕子は, 1978年に尾崎亜美作のパステルラブでデビュー. 落ち着いた声質, 滑らかな曲調で極めて心地良い.しかしながら, 一般受けしなかったためか, 曲調が次々変わっていく. 3曲目の午前零時のヒロインでは同じ尾崎亜美の作ながらやや激しい感じとなる. さらに5曲目からは, アジアンシリーズへ突入. ゆったりとしたオリエンタルムーンからややきつめのスリランカ慕情, そして企画ものとでも言うべきチャイナローズ. デビュー曲の伸びやかな歌い方がすっかり影を潜めてしまった. 何とかしようと四苦八苦していたことが伺えるが, このような努力にもかかわらず一般受けはせず以後ほぼ消えた状態であった. この後も一応3曲リリースしていたようだが, 当時聞いた覚えはない.アイドルの中では歌が上手い, 愛想笑いをせずクールなイメージで好きだったのだが, 世間には受け入れられなかったのは残念である. 今, チャイナローズを聞いて改めて思うのは, 歌の上手さ. この曲は下手な歌い手では, 音が外れているように聞こえてしまう. それを破綻なく歌い上げた実力は賞賛に値する. 最近では, 歌が下手な輩が多い. ある人気のシンガーソングライターも, どう聞いても音が外れているように聞こえる. 意図的にそのように作ってあるのかと思ったが, 大物演歌歌手がこの曲を歌った際にはそのようなことがなく, とても良い曲であった. つまり, 曲作りには秀でていてもそれを歌いこなすことが出来ないのである.その他のアイドルでも, 見た目だけというのも多々存在. 視聴者がそれを望んでいるのだからやむをえないものの, 実力があっても受け入れられない現状は残念である. 現在でも, 金井夕子のCDは入手可能. 私が持っているのは, 随分前に発売になったプレイバックシリーズだが, 現在はベスト版が入手可能. シングル曲は両者とも収録しているが, その他は若干差異あり. 個人的には, "ハートブレイカーのために" も好きなのだが, ベスト版には収録されていないのは残念. しかしながら, ぜひ聞いていただきたいCDである.