ゴジラシリーズ
昨日のガメラに続きゴジラについて. あくまで個人的な見解であり, 一般的な評価, 或いはマニアによる評価とは異なる点がある. ゴジラといえば, なんと言っても昭和29年公開の第一作. 反核, 反戦映画といわれるが, 特に芹沢博士が第三の脅威になってはならないとオキジェンデストロイヤーの資料を処分, さらに自ら命綱を切り海の藻屑と消えるシーン. 原爆投下は正当であったと言い張るアメリカ人はこれをどう捉えるのだろうか.しかし, その人気によりシリーズ化され, それに伴いこの主張は影を潜めて行く. モスラ対ゴジラまではともかく, その後の擬人化は見るに耐えない. 地球最大の決戦では怪獣同士で会話, それを小美人が通訳をする. 或いはヘドラにおける必要以上のゴジラ擬人化など. 怪獣映画の醍醐味は, 大画面での怪獣の迫力, 凄みである. このような擬人化をすることで, 凄みが失われていったのも人気衰退の一因であろう. 9年間の休止の後, 再開したゴジラはこの点を踏まえ, あくまで人類の仇成す存在として描かれている. 新シリーズの中ではゴジラvsキングギドラがお気に入り. ゴジラ誕生秘話や未来の技術でメカキングギドラを作りゴジラに対抗するという点が理にかなっている. さらにメカギドラを引き上げ後にメカゴジラを完成させる処も, ストーリーの連続性があって良い. タイムパラドックスに矛盾が多いとか, 宿敵キングギドラを卑小化してしまったという批判も有るが, 新シリーズ中もっとも楽しめる作品といえよう.ついでだが, このギドラの英語名でのスペルは従来とは異なっており, 宇宙怪獣ではない別のキングギドラであるという意図があったようである. また, 造形上の問題らしいが, 内股になりやすくこの個体はメスという噂も有った. 新シリーズで幻滅したのは, ゴジラvsメカゴジラ. 折角, メカゴジラの設定もゴジラ攻略法も理にかなっているのに, ラドンの合体 (吸収?) で台無し. この演出にはがっかりであり, 以後のシリーズはまじめに見ていない. (TV放送が有ったらつけておくというレベル.)vsデストロイアでゴジラは最期をとげシリーズは完結する. 同じ頃に, 必殺仕事人の完結編も有り, 中村主水が真っ赤な羽織袴で登場するという噂もあったのだが, 実現せず残念である その後さらにゴジラ2000ミレニアムで復活するのだが, これ以降は正当なゴジラシリーズというより, 同人誌などに見られるアンソロジー集という感じである. 新シリーズの続編でもなく, ミレニアムシリーズ中でも相互の関連は無いなどを考えると, それぞれの監督が思い描くゴジラへの思いを映像化したものといえる.一番の勘違いは, 大怪獣総攻撃であろう. 新たなトライという点, 或いはテーマ選定という点では評価できるが, やはりキングギドラが護国聖獣というのは受け入れがたい. 監督は, そんなことにこだわるから云々と発言したそうだが, あくまで異色作であると承知して見る必要がある. 全作品がビデオなどで見られる今ならそれで良いが, 劇場で見る場合, それが最新, 最大のイベントであるべきである. わざわざ高い金を払って足を運んだのに, それが番外編では観客に失礼というものであろう. ゴジラ×メカゴジラ, 東京SOSの2作はデストロイア戦で終結したゴジラシリーズへのレクイエムである. オキシジェンデストロイヤーで倒された初代ゴジラの骨格を使って作られた機龍が, 二代目ゴジラとともに海底深く沈むラストはゴジラ映画のけりをつけたものといえよう.FINAL WARSは, 特番とか総集編に当たるもの. たくさんの怪獣が出て最後を飾れば良いので, これはこれでよいのではないか. もっとも金を払って劇場に行く価値があったかは疑問だが. 良くも悪くもゴジラは日本を代表する映画である. この先どう扱われるのかわからないが, それでも期待したくなるというものである.