テーマ:特別支援教育について(353)
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高学年のクラスの担任の先生が出張のために、 1時間目の授業を任されました。
が、今日インフルエンザでの欠席者が急増したために 朝いちで、各クラスでの手洗いうがいマスク着用指導をすることになりました。
ほとんどの児童が素直に手洗いうがいに向かう中、嫌がる子が二人。 一人はアスペ君。 個別にきちんと説明をして、「自分の身を守るため」と話すと、 にっこりほほ笑んで手洗いに向かってくれました。
さてあと一人。 この人は、多動傾向??でも診断はナシ、と言う学校の認識。 そしてクラスの仲間からは 「みんなでやることを、一人だけさぼる、ずるいヤツ」 「わがままで、おこりんぼ、すぐに手が出る」 と少々煙たがられている状態です。
手洗いの必要性や嫌がる理由を聞いても、ニヤニヤ笑って首を横に振るだけ。 (彼の困っているしぐさですが、周囲にはふざけてるとしか映りません)
担任の先生がいらっしゃる時だったら、先生に全体指導をしていただいている間に 個別に話して説得すること、あるいはいやな理由を聞きだすことも可能ですが 授業を任されている以上、他の約30人をそのままにしておくわけにはいきません。
「先生、なんで怒らないの?」 「O先生(担任)は引っ張っていって、やらせるよ」 「一人だけしないのは、ずるすぎる」等の声が上がってきています。
もちろん、彼とじっくり向かい合って、嫌な理由を取り去ってあげたい、 でも、全体指導をしている中で、それを行うと、 他の子には「ひいき」に映ってしまう恐れがあります。
心を鬼にして、彼の手を引き、洗面所へ出かけると、 いわゆる「強い」男児が数名、様子をうかがうために、隠れるようにしてついてきています。 耳元で「大好きな君に病気になって欲しくないんだよ」と言ったが、彼はかたくなに拒否。 見ている男児たちは、ひそひそ声でささやき合っています。
「ちょっとだけ水をかけるだけでいいから」と半ば無理やり、彼に手洗いをさせました。 男児たちはそれを見ると安心して、教室に戻りました。
彼の心に、大きな傷を作ったかもしれません。 でも、ここで手洗いしないことを認めたら、クラス全員からの反感を買います。 私が嫌われるか、彼がクラスからはじかれるか……。
私は恐らくあと2週間で彼と離れることでしょう。 でもクラスメートとは、ずっと一緒です。 単学級なので、小学校の間は全く同じメンバー、 中学校に行っても、3クラスなので、同じメンバーがごろごろクラスにいる状態。 そんな中で、「あいつはわがままで、ひいきも受けている」と思われることだけは 避けてあげたい。
もしかしたら、信頼できる大人を一人失ったかもしれないけれど、 彼の将来を長い目で見たら、 周囲からつまはじきにされて、針のむしろになるよりもいいはず。
支援員としては悔やまれて仕方がないのですが、 「先生」としては、やらざるを得ない、辛い仕事でした。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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