山で使うデジアナ時計たち<3> 斬新操作 TISSOT・T-Touch・Titanium
「T-Touch」T33.7.798.51 ティソという時計メーカーがある。日本では海外ものとしては早くから輸入されているメーカーだが、知名度はいまひとつ。時計の収集をしていたころ、ティソはデザイン・技術は自分には合わないと感じたので一度も購入したことがなかった。しかし数年前に面白い時計を作った。T-Touchという多機能時計。こんな技術が同社にあったのかと感動した。それは他社の山の時計とは異なった素晴らしいコンセプトだった。ポイントは抜群の操作性の良さにある。モード変更ボタン カシオのプロトレックはご存じのとおりの多機能・最高峰の山用の時計。しかし複雑なお約束の操作が多い事が難。それに比べT-Touchはガラス面を触るだけ(タッチセンサー)で多くの機能を簡単・自由に操作できる。タッチセンサーで6種類の計測機能(コンパス・高度計・気圧計・温度計・アラーム・クロノグラフ)を簡単に呼出・操作が自由にできることは驚きだった。(いわゆるマニュアル不要)そしてプロトレックと違い、ほとんど凹凸のないスマートな形で金属製の本体はフォーマルの場面でも違和感がない。(写真T33.7.798.51はチタン製)会社などのアウトドア以外でも抵抗なく腕にはめることが許される時計。 会社の重役である友人は、自分の時計に不満を持っていた。それは時計の精度に対してだった。「標高差が100mも出る」という時計。そのタイプの生産はとっくに打ち切られ修理はできないと嘆く。よくよく聞いてみると標高を合わせる事をしたことがないという。これではだめだ。やったことがない人ほど「分かっている・めんどくさい・誤差が大きい」などと言う。この友人と近場の丹沢の山にご一緒した。時計の高度を700mで標高を合わせたが、1500mの頂上までの行程で20m以内の誤差だった。友人の喜びはすごかった。高度計は、登り口で高度を合わせる事が肝心なのに「めんどくさい」ですませていたのだ。方位 時計の向きを変えても瞬時に正確な方向を指す 「T-Touch」の操作は、とても簡単で驚く。山用の時計には、山での操作が煩わしくないものが大切と思う。こんなことを考えるとティソの「簡単操作」の開発思想に対し脱帽する。今後の開発が楽しみな会社となったものだ。TISSOT ティータッチ チタン●方位ベゼル: あり(クリック感の良い物が付いている)●防水性 : 3気圧防水(30m防水)(大雨などは大丈夫だが、沢登りには向いていないか?)●電源:電池 ●方位計測機能:あり(アナログコンパスのように瞬時に連続表示は驚嘆する)●気圧計測機能:あり (気圧傾向表示あり)(天気の移り変わりを見るのに便利)●高度計測機能:あり (正確なものと感じる)●高度傾向表示(グラフ表示):なし●温度計測機能:あり (カシオの時計と同様腕にはめると体温に影響を受ける)●ストップウオッチ:あり●12/24時間制表示切替:あり●耐低温仕様:不明●ELバックライト:なし(明かりをください)●サイズ(H×W×D)/質量 :41.0mm×41.0mm(除ベルト通)×13.4mm/70g(ベルト含)比較 PRG-60J (H×W×D):56.8 mm×52.0 mm×17.0 mm/77g(ベルトを含) 左PRG-60Jと右「T-Touch」大きさの比較左PRG-60Jと右「T-Touch」厚さの比較 まず特筆できる事は「簡単操作」だけではなく軽い。金属製にもかかわらずこの充実した機能がありながら70gという重量は偉い!の一言。 また方位計はアナログのコンパスのように瞬時に移動し続ける機構は好感が持てる。ラバーベルト ラバーストラップ(プッシュ三つ折式バックル)は、カシオのベルト群と違い格調が高い感じがする。フォーマルまでOK。日頃、腕にはめてしまうこの時計。ラバーのベルトに付いたプッシュ三つ折式チタンバックルと共にチタン色が光る。長短の針は、コンパスモードの時には通常の時計にはありえない俊敏な動きをする事も楽しい。自動的に時計モードに戻ってもデジタル表示部分で続けて各状況表示をしてくれる事もすごい。今までにはない楽しい山用思想の時計だけに日頃から楽しんでいる。