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高学年合同球技大会は、運動会より盛り上がる。
五・六年生の男女混合チームを四つ作り、トーナメン戦で勝負をつける。 ジャンケンで、サッカーのチームになれたのは、 ムッチャ、ラッキーだった。 なにより、公平君と同じチームだ。 ボクには、カッコイイ勝利の女神がついているんだと、うれしかった。 これで負けたら団地の仲間になんて言われるか。 ムカついたママの朝の顔も、ふれあい放課の作戦会議の頃には、 すっかり忘れていた。 「もう一回説明するぞ」 黒板の前で、公平君はコートの図を描き、マグネットをメンバーの 代わりにして説明してる ボクも来年はあんなふうになれるかな。カッコイイな。 「カズヤぁ。聞いとるのか」 公平君が大きい声を上げ、教室の中はビリリとなった。 ボクと反対の窓ぎわに座ってる、六年生の和也君にみんなの視線が集まった。 「聞いとるよぉ」 机の下で禁止されているゲームボーイをしながら、公平君をチラリと見た。 「ほれ見ろ。またクリアできんかったに」 そして目が合った、隣の六年生のミサキちゃんに 「なぁ」。ニヤリとした。 クスクスと女子の何人かが笑いだした。 「まあ、いいわ。サッカーの話は、これで終了」 公平君は、チョークをポンと手から離し 「残りは合同練習に決めよ」 放り投げるように言って、僕の後ろの席に座った。 「じゃあ、次は女子のバスケだね」 ミサキちゃんは、黒板の前に立つと、ちょっと考えて さっき公平君が書いたコートをそのままに、説明を始めた。 「ハヤトぉ、帰り時間ある」 公平君が後ろからボクをつついた 「うん。習字は5時までやってるから最後の回に行くわぁ」 「いっしょに帰ろまい」 え?作戦会議の続きをやるの。ボクと二人で。 そんな、ボクがスタメン、どうしよう・・ 「コウヘイ、俺ぇ、出んよ」 和也君が、いつの間にか、ボクの机の隣に立っていた。 「なんで」 「べつに」 見上げる公平君に小さな声で言うと、和也君は教室の戸を引いた。 ギャガガガ・・木がこすれる音。 コウヘイ君は振り返らなかった。 ふれあい放課が終わる音楽が、スピーカーからいきなりのように聞こえてきた。 調子がいい、ミッキーマウスマーチだ。 放課が終わるのに、こんな動きたくなる音楽を流すのって 放送委員会の考えはよくわかんない。 みんなは席を立ちだした。 「ハヤト、昇降口でな」 公平君も、席を立つ。 さっきの和也君は気になったけど、5年生が聞ける雰囲気じゃなかった。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005/05/30 05:33:57 PM
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