2023/09/12(火)05:05
(令和5年9月12日)中日春秋丸写し オスロ合意和平の筈も野分かな♪
中日春秋 (書写)
オスロ合意和平の筈も野分かな
敵同士のイスラエルのラビン首相とパレスチナ解放機構(PLO
)のアラファト議長が握手した1993年のオスロ合意。ラビン首相は
当初、家族をパレスチナ側に殺された女性に米ワシントンでの調印
式への同席をお願いしたという▼アラファト氏は殺害を命じた指導
者。女性はイスラエルの空港に姿を見せたが、同行はできないと断
った。「あの男の手は握れません」と涙を流し「でも首相、あなた
が私の使者なのです」と言い、和平を支持したという(竹田純子訳
『ラビン回想録』)。怨念を抱きつつ政治に希望を託そうとした人
は当時たしかにいた▼秘密交渉をノルウェーが仲介したオスロ合意
から 13日で30年。パレスチナの自治から始め、エルサレムの帰属
や難民の処遇などを解決し、最終的に二つの国家を共存させる計画
だったが、破綻したと言われ久しい▼ラビン氏はユダヤ教右派の青
年に暗殺された。和平を志向する中道や左派勢力はイスラエルで衰
退。和平どころか、パレスチナの反発を招くユダヤ人入植地が拡大
した▼パレスチナの側も分裂し、イスラエルとの武装闘争を掲げる
勢力が伸長。衝突は絶えない。恒久和平のために真剣に仲介の労を
とる国さえ見当たらぬのが、近年の現実である▼ラビン氏はオスロ
合意の際「血も涙も、もう充分に流しました」と演説した。充分な
はずなのになぜ止まらぬのだろう。