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最新情報 前立腺がんの診断と治療

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2023年12月03日
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カテゴリ:前立腺がん

◆◆ 去勢抵抗性前立腺がんに対する前立腺全摘術 ◆◆

 

前立腺がんが、前立腺に限局していれば、根治療法として、

放射線療法や前立腺全摘術が考慮されます。

 

進行前立腺がんでは、手術する適応はあるのでしょうか?

 

ふつう、転移性前立腺がんであれば、

前立腺全摘術の選択肢はなくなります。






全米総合がんセンターネットワーク(NCCN)のガイドライン(上の図)最新版では、

転移性前立腺がんの推奨度
1番の治療として、

 

去勢術+アーリーダ

去勢術+ザイティガ

去勢術+イクスタンジ

もしくは、

去勢術+タキソテールの化学療法+ザイティガ

去勢術+タキソテールの化学療法+ニュベクオ

が記載されています。

また、転移の量が少なければ、という条件で、

去勢術+前立腺への放射線療法


が、選択肢としてあがってきます。

 

転移の量が少なければ、『放射線療法』という選択肢はありますが、

『前立腺全摘術』という選択肢は、あがっていません。

 

つまり、転移性前立腺がんの診断の時点で、

前立腺全摘術という選択肢はなくなります。

 

放射線療法はOKで、前立腺全摘術がだめなのは、

身体への侵襲性や手術の合併症が危惧されるからだと思います。

前立腺がんの周囲への浸潤癒着、

治療後であれば、

去勢術によるがん細胞のの死滅による周囲への癒着が予想され、手術の難しさが心配されます。

 

周囲への癒着などがあれば、出血や直腸などの損傷も

リスクが上がります。

術後の合併症(尿失禁や、排尿障害など)も心配です。

 

​というわけで、放射線療法はともかく、

前立腺全摘術は、お勧めではないということになります。​

 

一方で、

ロボット支援腹腔鏡下前立腺全摘術が

全国各地で行われるようになりました。

より丁寧で、より安全な手術が行えるようになりました。

 

今まで、考えられていた、

前立腺全摘術の侵襲性や合併症のリスクが和らげば、

今後、前立腺全摘術の位置づけが変わる可能性があります。

 

​泌尿器科で扱うがんの1つである、『腎臓がん』では、

遠隔転移を有していても、

原発巣(腎臓)を摘除すること(​
Cytoreductive Radical Nephrectomy)は、普通に行われています。

原発巣(腎臓)を摘除で、予後(生存期間)が延長するといわれています。

 

しかし、前立腺がんでは、遠隔転移がある場合、

前立腺全摘術はお勧めの治療になっていません。

手術する部位が違いますし、

手術のリスクや術後の合併症も心配されます。

 

 

前立腺全摘術の安全性が向上することにより、

進行前立腺がんに対して、行われていなかった、

前立腺全摘術に再度光が当たり始めています。

 

転移性前立腺がんの患者を対象とした、

前立腺全摘術の臨床試験が昨今行われていて、結果が待たれます。

 

前述のように、転移性去勢感受性前立腺がんで、

転移の量が少なければ、

放射線療法は推奨治療になっているけれど、

前立腺全摘術は、お勧めの治療になっていません。

 

ましてや、去勢抵抗性前立腺がんの治療に、

前立腺全摘術は、だれも考えないし、行わない治療です。

というより行ってはいけない治療と考えられてきました。

 

前立腺がんが診断された時点ではなく、

去勢術治療後に進行した去勢抵抗性前立腺がんに対する


前立腺全摘術は、聞いたことがない治療選択肢です。

 

去勢抵抗性前立腺がんの場合、前立腺摘除術は、

普通治療の選択肢にありません。

前立腺以外に遠隔転移がある場合はなおさらです。

何をいまさら、前立腺全摘術?というわけです。

 

よくこのブログでも触れている

『個別化医療』『プレシジョンメディシン』は、

最近の前立腺がん治療の新しい考え方です。

 

今までは、

100人の転移性前立腺がんの患者さんに、ある治療を行い、

予後(生存期間)や再発率を検討して、

40人に効果がある治療ではなく、

70人に効果がでる平均点の高い治療を選択していました。

 

問題は、転移性前立腺がんといっても、

前立腺がんや個人の状態は様々で一様ではありません。

 

平均点の高い治療を行うというより、

患者さん一人ひとりに適した治療を選びたいという考え方が出てきました。

 

プレシジョンメディシン、個別化医療とよんでいます。

 

例えば、

BRCA遺伝子変異陽性、MSI high、神経内分泌がんであれば、

一般的な治療は、効果が期待できません。

その病態に合わせた、特殊な治療が必要となります。

 

進行前立腺がん、転移性前立腺がんでみつかっても、

長期間一般的な治療で、進行が止まっている患者さんがいます。

また、転移性前立腺がんでも、去勢術やその他の治療で、

画像診断(
CTや骨シンチ)で、

転移が消失する(見えなくなる)場合があります。

そのような患者さんでは、

前立腺全摘術は、効果はないのでしょうか。

 

転移性前立腺がんでみつかっても、前立腺がんは様々。

治療の効果そしてその効果の持続期間も治療してみなければわかりません。

 

また、去勢術の効果が切れた、去勢抵抗性前立腺がんになっても、

現在では、ザイティガやイクスタンジで、

かなり効果が長続きする患者さんも多くいます。

 

そのような患者さんの中に、たとえ去勢抵抗性前立腺がんだとしても、

前立腺全摘術の効果が期待できる患者さんのグループがあるかもしれません。

 

去勢抵抗性前立腺がんに対する、前立腺全摘術が、

一定の条件下で、研究として行われているようです。

 

どのような患者さんで、前立腺全摘術の効果がでるのか、


大変興味のあるところです。

 

詳しくは、​電子配信​で、紹介しています。


興味がある方は、是非、目を通していただければと思います。





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この配信は、進行前立腺がん、転移性前立腺がん、去勢抵抗性前立腺がん、再発性前立腺がんの方を対象にしています。


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最終更新日  2023年12月03日 16時57分57秒
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Re:去勢抵抗性前立腺がんに対する前立腺全摘術(12/03)   けんけん さん
放射線も1度しか使えないですからね。手術がダメなら凍結療法が一般的になればいいのにと思います。
それと、ニュベクオってやっぱりドセタキセルと一緒が推奨されてるんですかね?薬剤の作用機序から考えたら単剤でも十分に効果は見込める気がするんですけどね。 (2023年12月14日 23時59分35秒)

Re[1]:去勢抵抗性前立腺がんに対する前立腺全摘術(12/03)   Uromaster さん
けんけんさんへ

コメントありがとうございます。
放射線療法後の前立腺には放射線は、さすがに当てると、副作用が強いです。
というか、聞いたことがありません。

凍結療法は、可能性があるかもしれません。

転移性去勢感受性前立腺がんの患者さんに対する、

去勢術+ニュベクオ単剤の治療効果が証明されれば、使えると思います。

残念ながら、効果がまだ証明されていないのです。

ニュベクオは、ドセタキセルと併用できるので、副作用はあまり心配しなくてもいいのかもしれません。 (2023年12月17日 19時51分51秒)


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