about love memo
彼女のやさしさは彼の抑止を破壊した。こわれたように感情を表出させた。 「あいしてる」 「きみがひつようだ」 「きみがほしい」 そういった確信の裏打ちにない感情の発露を彼は長い人生で排除してきた。彼の感情はなかった。そうしたなにが面白くていきているかわからないと彼の周りは心配していた。 彼の情緒の障害は深刻だった。奔馬のごとく彼は彼女を愛しはじめた。だれもふたりを止めることはできなくなった。 愛したい at 2004 11/09 12:13 編集 愛されるより愛したい 愛されたい at 2004 11/11 11:25 編集 愛する苦しみをそれで癒されたい 愛とは at 2004 11/11 11:57 編集 愛とは乾ききった喉の一杯の生ぬるい水である。 乾いていないときだれもそれに見向きもしない。 しかし愛とは at 2004 11/11 11:58 編集 悲しみをうすめたりしちゃう そして愛とは at 2004 11/11 11:59 編集 愛されているとき、愛があるとたぶんきずかないかも あるいは愛とは at 2004 11/11 12:00 編集 顔文字の微笑み 表情 at 2004 11/12 05:29 編集 ただそこで彼女は時間を彼らと共有した。 深夜の彼女は日常の表情をして、西海岸まで愛が届くように、やさしい穏やかな表情をしている。 みんなはそういった表情を、すこしばかり楽しみにしていたりする。 ある愛 at 2004 11/14 00:25 編集 彼女の体の記憶を消し去るために、おびただしい新しい体を求めた。彼女を愛していたような、あいまいなそういった行為は、心の場所のある体を、代償の体を求めていく不毛な情事の堆積がかさを増していた。 「私、愛してる人がいるの」 夜明け前の私の部屋で、コーヒーのマグを抱え込むようにして、うつむきながら彼女は言った。覚悟はできているのか?と聞こえた。 私は白んでいく夜の気配の窓の外を見た。車のライトが遠景を流れていく。 「どこに帰るのかしら、さみしい川のながれのよう」 私は彼女の虜で、いくらほかの女たちにだかれても、このやっかいな乾きの心は満たされることなどないと承知で、泣きながら目覚める朝が怖くて、眠れないでいる。 彼女が私を必要としたPHASEを反芻しながら、素の彼女が愛している男には見せない表情や、状況のなかで、私を求めた事実だけが、その厄介な恋の行方を照らし始めている。 信頼 at 2004 11/16 21:30 編集 あなたがわたしになにをしてくださるかで、あなたのことが理解できるようになるでしょう。 あなたの行動が、あなたを表現する一番最適な方法です。あなたを理解すれば私の信頼と、許容をあなたは勝ち得ることになるでしょう。 あなたが私をほしいのは知っています。 しかし使い捨ての人間関係なら、必要ありませんし、わたしがあなたを特別に大切にしていることを自覚いただかないと、私を理解することは困難でしょう。 だから私を愛しているといわないでください。 そのたびに私が引いているのに気がついてください。 あの夜のまま at 2004 11/16 22:01 編集 ふたりでいる楽しい時間を知って そして あなたのいない夜を知る あなたの表情と匂いを わすれないように そういった重ねた夜を思い出して あなたのいない夜をすごす あなたのことを考えている夜に たどりついて あの夜のまま 動かせないでいる 玄関のあなたの脱いだスリッパが かわいらしくわたしを迎えてくれる 雨の夜 at 2004 11/20 00:44 編集 「あいしているといって」 「あいしてる」 夜更けの電車で送られて、お部屋に帰った彼女に、ひどく酔ったままの彼から、電話が入る。 彼はわたしに愛されたがっている。私はあいすることをしらない。私を欲しがっている、私の時間や、笑顔や、身体や、知性を。 「どこにいるの?」 「ガオカだよ」 土砂降りの雨の中で、彼は愛していると繰り返した、私があいしているかと繰り返した。 なんてかわいそうなひとなんだろう。そんな日曜日が終わってしまった、午前2時の土砂降りの雨の中、彼は私を欲しがっている。 「風邪ひくよ、うちにおいでよ」 「うん」 彼女のマンションを訪ねた。雨は夜明けまで降り続いた。二人の夜を覆いつくすように。