カテゴリ:刺繍
自分のために詩をかいたことのない詩人が
だれかに詩をかいてもらった。 冬近い夕暮れ時の路地で その詩人は振り返ることを辞める。 そこにはなにもないから 怨念と執着と慙愧と 常軌を逸した情熱が詩人を支えていた 無限の開ループが掴んでいたタスクを 落とした やがてそこには穏やかな時間の流れがあった 黄昏に山道を歩く 夜がくる前に山寺に着かないと 恐ろしいことになる 道に迷った それは正しい 道に迷っていること それに気がついていない それが迷い 詩人ははじめて詩を書いてもらった 彼女は詩人を愛した 愛したが恋ではない 家族のように 兄妹のように 仲間のように 詩人がはじめて愛された 見返りを求められない 絶え間なく 愛されるだけの愛に 戸惑いが消えるとき 再び何かを信じはじめた お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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