恋のような 愛のような

2005/10/13(木)19:30

京都

恋愛都市(137)

 若い時代、大阪出張の最終便に飛び乗ると、今回も京都にいけなかったなと残念に思った。何度か金曜日の大阪本社のブッキングを試みるが、わたしの目論見は当時の上司に自明の理で、 「俺がいくから、EXECTIVEMTGにでろ」  といわれた。  金曜日の夕刻 年間300億円を支払ってくれるクライアントのお偉いさんたちの愚痴を拝聴する無意味な会議があり、僕はその末席に、ただただ質問をっふられないように、祈りながら、あわれな目線を進行役の、弊社幹部のさわやかな進捗報告の流れをぼんやりと見つめるか、むやみなメモを取りながら、いつものドラえもんの絵を会社のロゴマーク入りのノートに書いたりしていた。  僕はその300億のうち1500万円をもらってそういった激務に耐えていたが、その会社が僕の人件費としてクライアントに請求していたのは1800万円だったから、その僕の管理費用は年間300万ということになる。  それらは無論その会社の部長クラスと同等だったので、課長諸君は僕の実力も理解できず、ひたすら足を引っ張ったりしてそういった羨望の憂さを晴らすしかなかったし、5時半になると僕は銀座や六本木のお姉さんたちと、食事のためにそのクライアントのフロアからいなくなっていたし、あるいは、クライアントはそういった繁華街で僕を、みつけて、飲み代を払わせるのをゲームにしていた節があった。  僕は最高で26万円を三人分として払ったことがあるが、それは弊社の社員割引で、ふつうの人だったら気絶するかもしれない。  そんなこんなで、僕は銀座でおちついてのめなくなった。 「こんど、京都いこうか?」 「うん」  そういった雑談の果たせなかった業界の人々は、仕事でゴルフに行ったりしていたし、黒服たちは、なぜかダークスーツで丸の内や六本木のOFFICEビルにおいさつまわりをしていたりする、ちょっと理解にくるしむ業界だった。

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