恋のような 愛のような

2006/02/20(月)18:54

雨上がりの夜の宵のガーデンで男ふたり

「そういえばしばらくバーにいってないなあ」 「そうですねえ 昔は夜がくれば」 「気もそぞろで でかけていましたなあ」 「あのママは元気でいるのでしょうか」 「年賀はきていた 三年いっていないねえ」 「ああ 雨上がりの芝生がきもちいいですが、ちょっと車でもよびますか」 「おお そうだな ママに電話しておいてくれ」 「はい」  庭にしつらえた照明灯にうかぶ、ひとけのない、雨のあとの静けさは、なにかしら、空騒ぎの宴会で、しめやかに、わすれさるべきことをわすれるために。思い出すことを思い出すために。  車中男ふたり、無口にその女のことを考えている。

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