恋のような 愛のような

2006/12/25(月)13:27

クリスマスと猫

 「では、作業がおわるまで、出かけてるよ」  そのイブの朝、僕はマンションの近くの終夜営業のレストランに、出かけた。そして元妻は転居先を知らせずに、出て行った。  部屋に帰ると、がらんとしていた。  テーブルのメモに、「猫をよろしく」と書いて、缶詰が置いてあった。  猫は寝室に眠っていた、何も知らないで。  妻のあたらしい人生には、愛していた猫はいらないのかと思うと、別れたことに、後悔することは、ないだろうという印象を持った。  クリスマスは、その猫と、ふたりきりで過ごした。  僕たちはしばらく、そのマンションにくらした。  その雪のやけに多かったその冬のクリスマス以来、僕はどちらかといえば、クリスマスは嫌いになっていたはずだった、きみと出会うまでは。

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