カテゴリ:旅
さて、
チーター君のバルセロナ物語の続きです。 ひとつの“成功体験”というのは、 予想もしないパワーを生み出すものなんですね。 何かしたい気持ちでたまらなくワクワクして しかも、やることはすべて上手くいくと思えてて。 ま、何てったって「チーター」だからね(笑)。 そして、次なる獲物を思いついたのです。 やはりお話をお聴きしたいと思ってたひとり。 “ 羽中田 昌 ” (はちゅうだ まさし) ・サッカー解説者、エッセイスト 羽中田さんのことは ヨーロッパに発つ数ヶ月前に知りました。 友達のお母さんが羽中田さんの本を読みえらく感動。 10冊くらい買って周りの知り合いや友人に配布。 その一冊をもらい、その本で羽中田さんの存在を知ったのです。 羽中田さんは高校生の頃、 日本サッカーの将来を背負っていくと 言われた超有望なプレーヤーでした。 しかし高校卒業後に交通事故に遭ってしまいます。 脊髄を損傷し、下半身付随。 車イスでの生活を余儀なくされ、 サッカー選手としての夢は絶たれてしまいました。 その後9年間は、県庁での仕事。 しかし、 サッカーへの夢は諦めきれず県庁の仕事を辞め、 大好きだったスペインへサッカーのコーチング留学に。 奥さんと共に、まったく保障のない生活へ。 そう、この当時、 羽中田さんもまだバルセロナにいたのです。 本を読んで、その行動力と信念に感動していたので、 チーター君としてはどうしても会いたくて会いたくて。 「どんな人なのか?」 この好奇心がいったん湧き出したら、 チーター君の鼓動は猛スピードで高まります。 角を曲がったら好きな女の子がいきなりいた!くらいに。 さあ、チーター君、 反町さんの時のように、 だだっ広い荒野を、いや、成熟したバルセロナの街を 一直線に駆け抜けましょう。 あれ、どこへ向かって駆け抜けたら・・・・・ そう、反町さんは 日本の報道で「FCバルセロナ」に いるっていうのはわかっていましたが、 羽中田さんの場合はバルセロナの街のチームで教えてる、 ということしか知らなかったのです。 しかも、バルセロナの街でか過ぎ~~~。 んんん・・・困りました。 いくら足が速くたって目指す場所もなくただ走りまくってたら、 うちの実家の猫“マイ”が突如家の中をダッシュしまくるくらい アホなことになってしまいます。 そんなことをしたら、 普段“マイ”をバカにしてるチーター君の面目がたちません。 そんなのは嫌だ。 “マイ”に屈辱の猫パンチを受けるのは嫌だ。 さ、ない頭使って考えるしかない。 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ 閃いた!!! 当時のチーター君なりの 精一杯の知恵を振り絞った大作戦。 羽中田さんは日本人 ↓ 日本人だから日本の食材を扱ってる店に 買い物に来てるはず ↓ お店の人が羽中田さんのことを知ってる ↓ そこで情報を集める ん~~~我ながら素晴らしい作戦だ。 よしよし、これで会えるぞ。 バルセロナの地図を観光局でゲットし、 日本食を扱ってるお店に印をつけ、 いよいよダッシュです。 “マイ”さんよ、ダッシュはこうやってからやるのです。 しかし・・・・・ お店が潰れてる・・・ 羽中田さんのことを知らない・・・ 店員さんが聞く耳をもってくれない・・・ おお・・・ この作戦はダメだったのか・・・。 これじゃ“マイ”に「ヒャー」って威嚇されちゃう。 とチーター君らしく あっさりと諦めようとした時に行った 日本の食材を扱ったお店の、優しい目をしたおじさん。 「ああ、知ってるよ。 奥さんがよく買い物に来るから。」 本に出てきたあの奥さんのことだ!!! 「僕、今日本で 高校生のサッカーのコーチをしてるんですが、 羽中田さんの本を読んですっごく感動して、 ぜひ直接お話を聴きたいと思って探してるんです。 何か知ってたら教えてほしいんですけど・・・。」 俺を見るおじさんの目が なんだか厳しくなった気がしました。 「誰かも知らない人に 彼の連絡先を教えるわけにはいかないよ。」 うん・・・確かにそうだよな。 「俺がいっかい電話して聞いてみて、 向こうがそれでOKって言ったらでいい? まあ無理だと思ってたほうがいいけどさ。」 も、もちろんです・・・。 また来ることを約束して、 すっかり夜モードになった街を抜け、宿へ。 翌日、 宿の近くのカフェで簡単な朝食を済ませ、 チーター君らしくないゆっくりとした歩きで その食材屋さんへ。 「羽中田さん、会ってくれるってさ。 ちょっと意外だったな~。 このメモに書いてあるバールに、 明日の15時に行ってみて。」 うわ~マジッすか~~~! おじさん、ありがとう~~~!!! 翌日、15時。 指定されたバールに行くと、 車イスの羽中田さんと、 奥さんが待っていてくれました。 「はじめまして。 僕たちを探してくれてたんだって? 嬉しいよ、本当にありがとうね。」 と羽中田さんの優しい言葉。 笑顔がたえない奥さんからも、 「遠い遠いスペインの地で、 こうして会ってるのって不思議だし、 やっぱり嬉しいことだよね。 本当にありがとう。」 ヨーロッパに来る前、 自分の弱さ・情けなさ・無力さが 嫌で嫌でしょうがなかった。 いろんなものを嫌になりかけてた。 人と会うのにも怖さを感じ始めてた。 だからこそ、この言葉は沁みた。 俺が会いたかっただけなのに、 「ありがとう」って 言ってくれるなんて。喜んでくれるなんて。 好きなことをやってる人たちが 共通して持ってる“人への自然さ”。 これが欲しいんだ、俺は。 大事な何かを 見つけられた気がしました。 スペインでの指導の話、 羽中田さんの考え方の話、 奥さんの超ポジティブシンキングの話、 あっという間に時間は過ぎていき、 いつかまた会いましょうと約束してお別れ。 帰りのバルセロナの街を駆けるチーター君のスピードは 行きよりも少し速い感じがしたし、 周りもちょっと見れるようになった気もしました。 チーター君のバルセロナ物語 「完」 『世界は舞台であり、人間は役者である。』 劇作家・シェイクスピア お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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