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カテゴリ:ビジネス
人生は失敗の連続である。しかし失敗から何かを見つければいいのだ。
そう言い聞かせて生きてきた。 過去の職場で何人かの直属の部下がいた。 最初の部下はとても頭の切れる女性だった。 年も2歳しか違わず仲の良い兄妹のような関係で、理想の上司と部下だと人には言われた。 彼女は仕事もできることから、彼女の意志に全てをまかせて自由にやらせた。 しかし自由にやらせるには所詮若すぎた。未成熟だった。 徐々に組織としての秩序が乱れてきた。確かに仕事は責任を持ってこなすことは認める。 しかし無断欠勤、遅刻が庇いきれないほど多くなってきた。 僕からの提言は、小姑の嫌みとしか思ってくれなかったのだろう。 まもなく彼女は会社を辞めた。 最後のことばは 「○○さん(僕のこと)、昔とは変わったよね」でした。 二人目の部下は温厚で育ちの良さが垣間見える男性だった。 親御さんが会社を経営しているという彼は良く言えば上品、悪く言えば世間知らず。 そんな彼をどのように育てようか悩んだ。 色々な人と相談した結果、こと細かに叱咤激励し厳しく対応していくことに決めた。 順調に育っているかに見えたが、二年目のある日から会社に来なくなった。 突然の出来事で驚愕した。どうやら過度の期待感にストレスを感じていたようだ。 まもなく彼も会社を辞めた。 お別れの飲み会の際に、彼は僕にこう言った。 「期待に応えられなくてゴメンナサイ。すごく良くしてもらったこと一杯思い出します」 僕は人目をはばからずに泣いた。 何故こんなことになったのだろう。 僕自身が会社を辞めたかった。 明らかに自信を失っていた。 会社としての成績は充分に上げてきた。 でも人を育てることに関しては全くの落第点だった。 そんなある日、直属の部長から呼ばれた。 「どうだ、お前の仕事も大変だろうし、下でも付けるか?」 「いえ、自信がないので遠慮します」 「なぁ○○、お前は良くやっていたよ、確かにそれは認める。 でもなぁ相手の資質を見抜かないとうまくいかないもんだよ。 まぁ失敗したと思ってるならば、それを糧にして頑張ってみろよ」 結果的には部長に押しきられる形で部下を持つことになった。 当日、僕の前に現れた新入社員は、 六本木から直接やってきたようなキャピキャピの小柄な女性。 やられた。と思った。部長に嵌められた気がした。 実際話してみると、タメ口。態度がでかい。その他諸々。 仕事を覚えていく過程でもなかなか理解してくれない。 どうしたらいいのだ。 と思い3ヶ月が経ったときあることに気づいた。 彼女の仕事は時間が掛かるけど、ミスが少ないのだ。確実にこなしてくれる。 おまけに人前にでても決して物怖じしないクソ度胸がある。 僕は彼女を徹底してお客さんの前に連れていった。 そして積極的にプレゼンテーションさせた。 なおかつ褒めた。褒めて褒めて褒め続けて、彼女に大きな自信を与えた。 失敗した過去の部下達のためにも人智を尽くして対応してきた。 ときには怒鳴り、大喧嘩。それでも本音でぶつかってみた。 これが大切だったのだ。このとき初めて気が付いた。 実は既にこのとき決まっていた。 この会社を諸事情で辞めなければいけないこと。 そして彼女が最後の部下になることも。 一年後、新人発表会において最優秀賞に選ばれ、 光輝くステージの上、自信に溢れた彼女の姿があった。 僕は一つの責任を全うした気持ちで一杯だった。 二ヶ月後、僕のお別れの飲み会では、 彼女が人目をはばからず大泣きしていた。 誰かが支えなければいけないほど崩れた。 「○○さんは私の恩人です・・」 こんなに嬉しいこと言われたのは生まれて初めてだった。 数年後、彼女から手紙がきた。 「本当にありがとうございました。 ○○さんのお陰でここまでやってこれました・・・・ ・・・・母になります。そのため会社を辞めることになりました」 このような内容だ。 最終的にはプロジェクトリーダーにまで登りつめた。 キャピキャピの六本木のネーチャンがである。 つまりは人を育てるということは、 その力を認め信じて、絶えず励ましてやること。 それは子供の場合でも大人の場合でも、相手の才能を伸ばし、 永続的な人間関係をつくるための最も有効な手段であろうか。 僕は失敗したなかからこのことを学んだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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