本 - Cry, the Beloved Country
少々時間がかかりましたがようやく「Cry, the Beloved Country」を読み終えました。話の筋書きだけを言うならシンプルなのですが、悲しく辛い話を美しい南アフリカの自然を背景に力強く書かれている読み甲斐のある一冊でした。特に印象に残ったシーンは殺害された男性の遺作ともいえるスピーチの下書きを父親が読んでいるところ。男性のスピーチは南アフリカの白人から黒人へ、そして南アフリカ全ての人へ、そしてアメリカのリンカーンへと広がり、そこから南アフリカの将来へと繋がるところでプツッと切れてしまう。とてもドラマティックであると言えます。辛い生活であれど、それでも人生は続く。続くからには憂いてばかりではいけない。変化はすぐには訪れないけれど、だからと言ってあきらめてはいけない。この作品は二度映画化されていて、最初の作品はシドニー・ポワチエが出演しているようですが、Netflixではその後の作品の方しか無い様子。それでも、ちょっと観てみるつもりです。さて、自宅用の読書本はいまだにポール・オースターの「Timbuktu」。本当にすこーーしづつ読んでいます。段落の区切りが少ないので、途中で読み止め難いのと翌日などに読むのを再開すると話が頭に戻ってくるのに時間がかかるのとでどうも進みが超ゆっくりです。作品自体は、美しくゆっくりと綴られていています。そして職場用の本、今度はCormac McCarthyの「The Road」です。「Cry, the Beloved Country」に続いてオプラ・ショーのブック・クラブで取り上げられた作品。たまたまなんだけれどね。こちらは打って変わって、ごつごつとした文体というかフラグメントなどの文法デタラメだったりするけれど、それは“空気”を作るためのわざとの手法なのは明らか。明らかなんだけど、この文体に慣れてスルスルと読めるようになるのに少々時間がかかりそうです…。