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サリエリの独り言日記

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2022.07.21
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ウクライナ戦争
 私が腹が立ってしかたがないのは、プーチンや山上容疑者の、ごくエゴイスティックな言い分の中味ではなくて、それによって引き起こされる社会的ハレーションが、私の個人的生活リズムにもネガな影響を与えている、というところにあるのです。
 それは何も「ウクライナ戦争」で物価が上がっただの、景気が悪くなったなどということではなく、それまで連日「コロナ禍」の話題で埋め尽くされたマスコミ報道が、手の平返しに「ウクライナ戦争」の話題を持ち出して、これまたほぼ同じ顔ぶれの専門家たちのコメントを流し続ける。私たちは当然侵略されたウクライナに同情し、侵攻したロシアが苦戦しているのを見るにつけ、「それ見たか」と快哉を叫ぶ自分がいることを知ることになってしまう。
 ここでの私たちの心理的景況は、言うなればスポーツ観戦の「赤勝て白勝て」の心理に近く、そうした野次馬根性を自身のうちに見い出すつど、私などウンザリしてしまう。生活リズムがネガに傾いて腹が立つ、とはそういう意味です。

 それにしても、日本に避難してきたウクライナの人々。人権団体の中には「ウクライナの避難民だけを優遇するのはおかしい」という声があり、例によってポリコレで「正義」を振りかざすのが大好きなマスコミの一部が騒いでいましたが、岸田政権は参院選への思惑もあって、世論の動向をジィッと見、特別扱いを敢行しましたね。で、世論はそれを非難するどころか、地方自治体によっては、避難民に対して考えられないほどの支援を打ち出しているところもありました。
 この状況について、内田樹氏がブログに面白いことを書いていた。
―ゼレンスキー大統領は国際社会に向けて「われわれは、自国領土や市民の自由と権利を守っているだけではなく、この戦いを通じて、世界中の人々の自由と権利をも守るためにも戦っているのだ」というメッセージを発信しました。ウクライナは自国の独立や国益より「上位の価値」を守るために戦っていると訴えた。 ―
 結果、この戦争が今まで世界中で繰り返されてきた紛争とは全く異質な戦争であるということを世界の人々が検知した、と言うのです。はたしてそうか?

 これまで難民支援と言えば、どこの国あるいは機関のメッセージも、当該国地域への援助と救訴のみで占められていたのに対し、ゼレンスキーは世界に対してたんなる支援ではなく、より高い自由と民主主義を守るという「上位価値」に訴えたので、主として先進民主主義国の政府国民に「これはこれまでの戦争あるいは紛争とは異なる」という印象を植え付けることに成功した。対してロシア(あるいはプーチン)は、身内の理屈だけを持ち出して戦争を始めたので、西欧各国からつまはじきにされた、ということでしょう。
 政治的メッセージとして、ゼレンスキーの言明は議論の余地なく正しいとしても、それを直ちにウクライナからの避難民に対する特別優遇という結果に結びつけるのは、ちょっと無理筋かなという気が私にはします。ポリティカリーコレクトネス(政治的正しさ)だけでは、やはり万人の共感と支持は得難い。げんに西欧民主主義各国以外の国々はわりと冷めた目線を向けているじゃないですか。これは何もロシアの鼻息に気を使っているのではなく、こんな紛争はそれらの国々ではしょっちゅう起こっているからです。彼らから見れば、なぜウクライナだけが特別視されるのか、ということになるのでしょう。

 さて、ではなぜ岸田政権は、ウクライナからの避難民に対し特別処置を取ったのか?それは言うまでもなく、世論の熱い支持があったからです。ではなぜそれまでアジア、アフリカ他からの難民受け入れに消極的、あるいは冷淡とさえ言いうる日本人が、ウクライナにかんしてそれを支持したのか?それはおそらく同じ生活感覚あるいは誤解を恐れずに言えば、文明感覚を持っている人々に対する共感があったからでしょう。
 まあ、もともと日本人には白人コンプレックスがあり、とくに西欧型美人の典型とされるウクライナの女性を見るにつけ、同情を誘ったことは事実ですが、もちろんそれだけではない。来日直後の避難民の態度物腰や言葉に打たれたんだろうと私は思う。受け入れに対する感謝の言葉と、日本で仕事ができるか心配という、非常に「自律した精神性」が、刺さったのではないか?
 残念ですが、これまでの難民の方々は泣訴哀願のポーズばかりが目立って、確かに気の毒とは思うが「共感」にいたるには、ちょっとシンドイところがあるのです。「受け入れてくれてありがとう。で、私たちに何してくれる?」では、こっちは応対に困るでしょう。援助慣れしたと言っては語弊がありますが、態度物腰についていけない理由が、今回のウクライナ避難民の様子を見ていて、ようやく分かった気がしました。

 私たちはそれまでほとんど知らなかったウクライナの避難民に、同じ生活感あるいは市民感覚のようなものを検知したのです。物事に感謝し、自活するためにどうするかにすぐ感覚が向くというのは、日本国内の災害避難民と同じエートスじゃないですか。で、それはそのままその人たちの高い「矜持」となっているじゃないですか。
 そういう共有できる市民感覚を持った人々が、いきなり侵略され、人権蹂躙どころか虐殺拉致暴行レイプ略奪といった、およそ考え得る暴虐の限りを受けたとなれば、我々は政治感覚でなく生活感覚で、その「痛み」と「怒り」を共有してしまうのです。

 それにしてもロシア。私は以前から外国人ユーチューバーのファンで、その中にはアシヤさんとかアリョーナさんといったロシア出身女性も含まれる。ロシア語というのは、その音列がほとんどの日本語音をカバーしているので、彼女たちの話す日本語はおどろくほど違和感がない。彼女たちのアップする動画は、ほとんどが日本の風物食物旅行といった、たわいのない話題ばかりでしたが、その時の雰囲気が周囲にごく馴染んで、全然違和感がない。私はそれがどこから来るものなのか、それが面白くて見ていたものです。
 早い話、彼女たちが時に里帰りして現地語で会話するとき、その態度物腰は明らかにあちらふうになっている。考えてみれば当たり前の話ですが、こういうときエートスの変換というのは起こり得るものなのか?まあこのお二人にかぎらず、最近の若い来日外国人のほとんどが、日本を知るきっかけとしてアニメや漫画を上げているのをみると、彼ら自身が来日以前から、日本のエートスにそれほどの違和感を感じていないというところもあるのかもしれない。私たちが映画その他の媒体によって、アメリカ人のエートスにあまり違和感を感じないように。

 とはいえ、そうしたのどかな状況は、今回のウクライナ戦争で一変してしまいました。上記お二人にかぎらず、ロシア人ユーチューバーとウクライナ人ユーチューバーは、いきなり両国代表として話すことを強いられることになったのです。





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Last updated  2022.07.21 11:51:07
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TNサリエリ@ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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