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サリエリの独り言日記

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2022.09.23
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カテゴリ:クラシック
LiSA’s flame
 時系列をたどっていくと、オープニングテーマ「紅蓮華」の発表は、テレビアニメ{鬼滅の刃 立志編」の放映に合わせた2019年4月、「THE FIRST TAKE」の「紅蓮華」が発表されたのは2019年12月5日で、同年末には「紅白」初出場をLiSAさんは果たしています(動画の中に、それらしき言及がありますね)。「THE FIRST TAKE」の開設は、同年の2019年11月5日で、彼女の「紅蓮華」はこのサイトがUPした5曲めになるのですが、開設運営者が言うとおり、このLiSAさんの歌唱で「THE FIRST TAKE」のコンセプトは、完全に固まったと言っていいのでしょう。
 それは言ってみれば、世の中が「鬼滅」フィーバーで沸くなか、独立した音楽としての「紅蓮華」、ヴォーカリストとしてのLiSAさんに、どこまでも肉薄してやろう、ということだったのではないか。マイク一本という超シンプルな画像なのに、カメラもマイクも歌い手の一挙手一投足を、寸刻も逃すまいという構えじゃないですか。

 面白いのは、この出来上がった「THE FIRST TAKE」の音源は、そのままテレビアニメのオープニングに使うわけにはいかないということです。なぜなら、この「紅蓮華」はそれだけで、テレビアニメ「鬼滅の刃」の世界観を、語り尽くしているからです。もし、この音源を番組のはじめに聴かされたら、かんじんの本編が、かすんでしまうかもしれない(「音楽負け」という言いかたを、フィギュアスケートで言ったりするじゃないですか、曲が壮大すぎてスケーターの演技が、追いついていけない場合など)。
 そういう意味で、作曲者や作詞家がどれだけ原作や原案に共鳴し、精魂を傾けて作品を作り上げたとしても、むしろその完成度が高いほど、実際に使われる音楽はその半分ほどの中味でパッケージされる運命にあると言っていい。オープニングテーマのコンセプトが、本編に視聴者をいざなう役目を負っている以上、それは仕方のないことなのです。

 という意味で、あらためて「THE FIRST TAKE」の「紅蓮華」を聴いてみると、逆に本編に縛られないぶん、LiSAさんのナラティヴな力が存分に発揮されているように感じる。narrativeという言葉については何度か触れたことがありますが、たんに「物語」を語るのではなく、より「共感性あるいは想像力を、聴き手の心に喚起する」ような語りかたを言うので、いわゆるstory tellingとは異なる。
 それが如実に表れたのが、先にも触れた中間の「人知れずはかない、散りゆく結末~」と続くブリッジ部分の朗誦で、ここの根を詰めた発語のしかた、明らかにLiSAさんの「鬼滅」感を雄弁に語っていて、これはやっぱりオープニングには使えませんね。最近アメリカのラッパーと思しき人物の、笑ける「紅蓮華リアクション動画」が出たので見てみてください。

 さて、「炎」はほぼ一年後の2020年10月16日の発表で、劇場版「鬼滅の刃、無限列車編」の公開日にあたりますね。この年は年末の日本レコード大賞、「紅白」の二年連続出場など、LiSAさんにとっても画期の一年だったでしょう。
 じつはこのかん、彼女は「THE FIRST TAKE」に、「unlasting」(19年12月25日)と「catch the moment」(20年10月28日)というアニソンを前後して発表していて、「一発撮り」の面白味というのを充分熟知していたことでしょう。この二曲も彼女らしさ満載の歌唱で上出来ですよ。ではLiSAさんはこの「炎」の一発撮りに、どのように臨んだのでしょうか?映画の公開日と同じということは、OSTのエンディングテーマと「THE FIRST TAKE」の「炎」のUPが同日だったということで、どっちが先の収録だったのか、これも私の関心を引くところですが、些事にわたってキリがないのでここではしません。

 いずれにしても映画本編に盛られた世界観を、一年前の「紅蓮華」のコンセプトに沿って、歌唱だけで克明に描き切ろうとされたに違いない。したがって伴奏も華やかなインストルメンタルやコーラスを排して、ピアノ一本。テンポもOSTより「紅蓮華」と同じように、心なしゆっくりしていて、歌詞の意味するところを、じっくり伝えたいということなのでしょう。
 歌は当然曲想に沿って、「痛みと悲しみ、あるいは怒り」のような色調を、さまざまな発声法を駆使しながら、唄われいくわけですが、ここでかの美人ヴォイストレーナーが、「そしたら、突然彼女の頭の中に、『声』が飛び込んできた」という場面が現れます。それがどこかは判然としませんが、このトレーナーさんはかなり早く、その気配を嗅ぎ取ったようですね。ではその『声』とは、いったい何だったのか?
 LiSAさんが歌い終えたあと、気持ちを鎮めるように、だいぶ経ってから「いろいろなことを思い出しました」とか、「今までのいろんな自分の中の思いが、~途中で落ち着かなきゃ、落ち着かなきゃと思いながら、~すべて息も想いも、この中(マイク)に入って行った気がした」と語った言葉、おそらく自身のこれまでの順風とは言い難かった、歌手人生も重ねていたんだろうとなるわけですが、どうもそれだけでは、私は片付かないような気もするのです。





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Last updated  2022.09.23 10:35:04
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TNサリエリ@ Re[1]:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) ナガノさんへ  コメントいただき、ありが…
ナガノ@ Re:Kyoto Tachibana High School Green Band 10.(09/07) 2年遅れで、この文章を読んで泣けてしまっ…
TNサリエリ@ ふたたび、コメントありがとうございます。 cocolateさんへ 私自身、彼女の演奏に刺激…
cocolate@ Re:エレクトーンというガラパゴス 1.(06/17) 再びおじゃまします。 826askaさんのYouT…
cocolateさんへ@ コメントありがとうございます。 三年ほど前に826asukaさんのことを知り、…

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