知春の館

2006/09/16(土)20:55

ジョニーは言った。42

ジョニーは言った。(90)

 良次は涼子の手を握った。涼子は 「何?。」  と聞いた。良次は 「暗くて歩けないだろ。」  と言った。涼子は 「どこかに行くの?松島さんがそこにいろって言ったのに。」  と言った。良次は 「道路に出るだけだよ。」  と突き放すように言って、涼子の手を引っ張って歩き出した。 「松島さん呼んだ事、怒ってる?。」  と涼子は聞いた。良次は 「別に。」  と言った。涼子は良次に引っ張られながら 「怒ってる。」  と呟くように言った。  涼子と良次が20分ぐらい山を下ると、車道らしき道に突き当たった。車道と言っても街灯も無く、車一台がやっと通れる程度の道だった。  車道には雪がかなり降り積もっていた。  光が無いはずの暗闇の中、車道に積もった白い雪が微かに光を放っているように見えた。  涼子と良次は車道の脇に腰掛、わずかな光を放つ雪をじっと見続けた。  つづく

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