カテゴリ:ジョニーは言った。
良次は
「この僕を脅すなんて、世が世なら君を殺していたかも知れない。」 と言った。涼子は 「えっ?。」 と聞き返した。良次は 「ほんの冗談だよ。」 と言った。涼子には冗談には聞こえなかった。 「世が世なら・・・ありえない話じゃないかも。秘密を守る為なら少女の一人や二人。」と涼子は 思った。涼子は気を取り直して 「で、松島さんを呼ぶの呼ばないの?。」 とあえて強気で言った。 「呼ぶよ。涼子ちゃんにしゃべられたら、松島さんの心証をさらに悪くする。金と権力のある人間 にしか薬を売らない薬屋なんて、松島さんの最も嫌いな人種だからね。」 と良次の声が聞こえたと思うと、真冬の森の暗闇の中で、携帯の光に照らされた良次の顔が現れた。涼子は驚いて 「わっ!。」 と声を上げた。良次は一目、涼子を見ただけで何も言わなかった。 松島さん相手に、それどころではないらしい。 携帯電話が繋がると同時に、携帯電話から松島さんの低い声が聞こえた。 「良次か、今どこにいる?。」 と涼子にも解るほど、松島さんの声は怒りに満ちていた。良次は 「あの、今、山の中に・・・。」 と緊張しきった声で答えた。松島さんは 「山の中?。」 と聞き返した。良次は 「いまGPSで居場所を送ります。」 と言って、良次は携帯を操作した。松島さんはデータを確認すると 「そこにいろ!すぐ行く。」 と言って松島さんは電話を切った。 携帯の光に照らされた良次の表情は、明らかに怯えていた。涼子は 「そんなに怖がる事ないでしょう。旅館での勢いはどうしたのよ?。まるで別人よ。あの旅館の人 達に比べたら、松島さんなんてチンピラでしょう。」 と言った。良次は 「人間のやくざを前にした時の怖さと、虎の様な獣を前にした時の怖さは別物だ。」 と言って携帯を閉じた。 再び、辺りは暗闇につつまれた。 「松島さんは、特にジョニーを裏切った奴を絶対許さない。」 と言う良次のつぶやく声が、暗闇の中から聞こえてきた。 つづく ![]() お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
Sep 14, 2006 08:54:56 PM
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