トカトントン 2.1

2007/04/20(金)21:23

はらいそ / 細野晴臣

音楽(515)

1. 東京ラッシュ 2. 四面道歌 3. ジャパニーズ・ルンバ 4. 安里屋ユンタ 5. フジヤマ・ママ 6. ファム・ファタール ~ 妖婦 7. シャンバラ通信 8. ウォーリ・ビーズ 9. はらいそ ■近々発売される細野晴臣のトリビュートを楽しみにしている。全22曲の2枚組、中でも気になるラインアップは 「ろっかばいまいべいびい- Piano Demo ver.-」細野晴臣 「イエロー・マジック・カーニバル」ヴァン・ダイク・パークス 「風の谷のナウシカ」坂本龍一 + 嶺川貴子 「アブソリュート・エゴ・ダンス」東京スカパラダイスオーケストラ 「終りの季節」高野寛 + 原田郁子 「恋は桃色」ヤノカミ(矢野顕子×レイ・ハラカミ) 「スポーツマン」高橋幸宏 「Turn Turn」コーネリアス + 坂本龍一 「蝶々さん」ウッドストック・ヴェッツ(ジョン・サイモン、ジョン・セバスチャン、ジェフ・マルダー &ガース・ハドソン他) 「風来坊」ジム・オルーク + カヒミ・カリィ 「Humming Blues -Demo ver.-」細野晴臣 というところだろうか。細野氏自身のデモトラックが最初と最後に位置し、彼を取り巻く友人たちや後輩たち、そして海外組まで参加してこの不世出のアーティストの足跡を辿る。ま、森高千里の名前がないのはちょっと寂しいところではあるが。 ■数ある傑作の中でも印象に残る一枚は「はらいそ」。トロピカル路線の締めくくりとして、来たるべきYMOへの足がかりの一枚として、彼のキャリアの中でも最重要な作品のひとつである。 ■M8の冒頭のフレーズが坂本龍一の「千のナイフ」の「End of Asia」のメロディに酷似しているのは全くの偶然だという。時を同じくして、ふたりに起こったシンクロニティ。「ほら聞こえる 地鳴りの音」というM6のセンテンスが示すようにこの時同じものを見ていた芸術家たちはその次の年、グループを結成して世界を目指すことになる。 ■この人の作る音楽の心地よさの核はどこにあるのだろうと考えてみる。いくらテクノロジィが進歩したとしても、いくら楽器を持ち替えたとしても、滲み出るのは身体から離れていかないちょっとした躍動感であって、それは心臓にすごく近いところで鳴っている音なのではないかという気がする。すごく大雑把に言ってしまえば品の良さなのではないかと思う。 ■A面(M1~M5)までのノスタルジィを感じさせる楽曲から一転してB面(M6~M9)のモダーンな展開は天竺あたりを連想させる頭の上で鳴っている音楽を思わせる。そこでは歌が上手いとか、良いメロディだねとか、誰がどんな楽器を弾いているのか、なんていうことはどうでもいいような事に思えてしまう。ただそこに世界がある、そんな感じ。 ■ユキヒロの「サラヴァ」と教授の「千のナイフ」と細野の「はらいそ」、それが3枚出そろったところで、もう準備は全て整っていたんだ。誰の真似でもない自分たちの音楽、目指すのは世界、グルーピーは要らない、ただやりたいことをやるのみ。そしていまでもなおYMOは孤高の存在なのである。

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