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江戸東京ぶらり旅

江戸東京ぶらり旅

紀伊国屋文左衛門<木場>

紀伊国屋文左衛門


 地下鉄東西線に木場駅がありますが,この「木場」はその字のごとく,材木置き場。ちょうど江東区の木場公園あたりがそうでした。近くには「東京都現代美術館」もありますね。木場はもともと日本橋にあったのですが,「明暦の大火」でこの木場が焼け,危機管理が必要だ,隅田川のあちらに木場を移そう,となったのですね。ここなら掘り割り(運河)でどこへでもつながっているので便利。大きな商店では火事でお店が焼けたとき,すぐに再建できるよう,木場に家一件分の材木をキープしてありました。だから大火のあと,短期間で商売再開なんてことできたのですね。

 杉並区は江戸時代,杉の生産地でした。遠くで生産し,運ぶとそれだけでお金がかかるので江戸近郊で生産し,石神井川,神田川を利用して運んだのですね。「囲山」という非常災害時用の植林もあって,屋敷が焼けたときだけ木を伐採して家を新しく建てる,なんていうこともしたのですよ。

 材木で大もうけしたのが,紀文こと紀伊國屋文左衛門(きのくにや ぶんざえもん)さん,和歌山の出身だったので,みかんを江戸に運び,空になった船に塩鮭を積んで上方へ帰る。それで大もうけをしたというのです。誰でも同じことをすれば儲かるというわけではありません。ここにアイデアが必要です。彼は,江戸ではミカンが高騰していたときに,危険をおかして荒れた海を運んだのです。また上方では伝染病が流行していたので,「流行り病にはこの塩鮭が一番」とキャッチフレーズ。売れに売れたのですね。矢張り頭を使ったのですよ。
 後に八丁堀に住み,材木問屋を開業。金(賄賂ですよ)があれば幕府の要人に接近できますね。結果,上野の寛永寺根本中堂の造営を任され,5万両という巨利を得ました。江戸の国家予算の三割に相当するお金を儲けたのですよ。すごいですね。紀文の吉原の豪遊も有名ですね。一夜にして何億もばらまく。大判小判をばらばらと。お金を拾う花魁の仕草を楽しんだのでしょうかね。

 墓所は地下鉄大江戸線清澄白河駅の近くの「霊巌寺」,和歌山県有田郡湯浅町には,松下幸之助さんが建てた紀伊國屋文左衛門生誕の碑があります。松下さんも紀文さんにあやかりたいと思ったのでしょうか。と,ここまで書いて・・・紀文さん,架空の人物という話もありまして,本当はどうなのでしょうね。紀文さんの後継者はおりません。一代で財をなし,そして消滅。
富岡八幡


 さて,木場の西,門前仲町にある富岡八幡さま,ここには紀文さんが寄贈したとされる総金張りの本社神輿三基がありました。ところがこの神輿,関東大震災で焼失しました。そこで登場したのが,佐川急便の会長さん,本社神輿を復活させたのです。ルビーなどの宝石をちりばめた「十億円神輿」で,誰でも見られるよう参道左側に展示してあります。

富岡3.JPG






紀文ってご存じですよね? えっ,それは誰かって?

紀伊国屋文左衛門のことですよ,あの松下幸之助が尊敬していた。和歌山県の出身で,紀州みかんを食べると病気が治るとか,うまい宣伝をして大もうけ。それで勢いがついたのですよ。

それなら知ってるって。そうそう,その通り。江戸に出て材木商を営み,時の大老柳沢吉保と仲良くなって上野の寛永寺建立のための材木納入などで巨万の富を築いた。そうですね,東京都現代美術館のある木場公園のあたりは,江戸時代は材木の集積所。だから「木場」って言ったのさ。それに,あの清澄庭園はもともと文左衛門の屋敷のあったところですから,深川と深いご縁があったのですね。

ところで,彼の墓が深川にあるってご存じでした?

P1010308紀伊国屋碑1.JPG


えっ,やっぱりご存じない。文左衛門は吉原では「お大尽」などと呼ばれて,一晩で使い切れないほどのお金をばらまく。お座敷で本当にばらばらとばらまき,遊女たちに拾わせる。「わはは,これは面白い」なんて言ってね。これだって,結局はここに招いた幕府の役人の懐に入ったのだから,はっきり言って賄賂。「損して得とれ」という計算尽くのビジネス。一見散在に見えるが,これでまた幕府との結びつきは強くなり,仕事がくるって寸法だ。

逆に言えば,この結びつきが絶たれるといきなり貧乏になる。彼も吉保が失脚して後,仕事が思わしくなくなり,門前仲町1丁目の深川八幡神社の一の鳥居付近で静かに暮らし,ついに淋しく亡くなったというわけよ。

●紀伊国屋文左衛門の墓●

P1010310紀伊国屋碑3.JPG


墓はどこにあるかって? そりゃ深川江戸資料館,霊巌寺の1ブロック南の成等院の墓地内にありますよ。ここには紀伊国屋文左衛門の碑<写真上>が建っていて,この左側にあるのが墓です。墓はもうぼろぼろで文字は台座以外全く読み取れません。そうそう,現代でも長男に墓を守らせようなんていう親もいますが,誰だって孫の時代になると忘れ去られる。だから墓にこだわるなんて親のエゴというものですな。

えっ,あなたは散骨で十分だと? 私も同感ですな。文左衛門のように知られたお方でもいずれはこうなるのですからな。あの世に行ってからのことなど心配してたら,今の世の中生きていけませんよ。

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