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カテゴリ:映画ログ
2008年3月になって、「実録、連合赤軍 あさま山荘への道程」(若松孝二監督)という映画が公開された。連合赤軍が日本を騒がせて35年以上経ってやっとあの人達の考えていた事や起きた出来事の真相を探ろうと言う映画が出てきた。この映画「光の雨」(高橋伴明監督)は2001年に立松和平さんのドキュメンタリー的小説を元に先立って映画化されていた。他にこの事件を扱った映画がないこともあって古いが是非観たかった映画だ。
映画の冒頭に、1960年の安保反対運動に端を発して、市民や学生に安保阻止デモが沸き起こり、それによって大学内に反米、反政府の気運が盛り上がった、といきさつが説明される。全国規模の運動も条約を阻止できなかったのだが、火のついた学生達の学園紛争は逆に熾烈に成った。中国の文化大革命中のためもあって現資本主義政府を倒し、もっと良き社会を作ろうと考える学生達が都市の大学で組織を固めていた。有名な重信房子の率いる共産主義同盟(ブント)はやがて全学連となった。全学連の一派の赤軍派は関西系の大学生が多かったが最も過激な赤軍派も大物が国外脱出や逮捕でいなくなった後に、やはり武力革命を唱える共産左派と合体し連合赤軍となった。赤軍派に居たのが森恒夫、共産左派に居たのが永田洋子である。 彼らはかねてより警官襲撃などで集めた武器を持って合宿軍事訓練をする事にした。武器は革命を成し遂げるに必要な神聖な物であり、必ずいつか革命が世の中を変える、今は山にこもって革命の理念について実戦訓練と学習に励もうと思っていた。彼らは頭もよく非常に真面目な青年男女だった。理想に燃えていたし、同志愛もなかったわけではない。が、「総括」と呼ばれる自己批判の行為によって14人が死んだ。当時メデアに公開されるや、あまりの残酷さに一般市民は目を覆った。何故?立松氏の「光の雨」は青年たちの心情を知る手がかりを模索している。 榛名山のアジトは捨てられたボロボロの空き別荘を手直ししたもので、暖房も無く非常に寒そう、屋外は雪が積もり時々吹雪も来る。後日、雪の下から14人の死体が出た。殴られた後、戸外に縛られて放置され衰弱死か凍死。真面目な討論が同志の死に繋がる……誰もが死を恐れ逃げたがっていたはずだが出来なかったのは何故だろう。革命のためなのだというリーダーの言葉にしばられて身動きできなかったのか?死と恐怖の毎日、何時自分が「総括」されるか?そして森と永田の不在中、アジトは分解し、そのうちの銃を持った4人が雪の山中を彷徨ってたどり着いたのが「あさま山荘」だった。 彼らの内数人は時々山を降りて食料など買出しに行っていた。地元の人たちは垢まみれの非常に臭い若者が山に居る事をちゃんと知っていたのだ。駅で逮捕されのも臭かったからと言われている。彼らだけがアジトは秘密基地だと思っていたようで、この辺が世間知らずの純朴(?)な青少年だなと思った。24~29才の人ばかり、男女混合で夫婦(政府なんかに認めてもらいたくない)も居る。事件事態が衝撃的なので映画になってもショッキングであった。 (おまけ)永田洋子に該当する上杉役を演じる裕木奈江は幼児のような綺麗な顔だ。ところがこれが怖い!同様に森恒夫に該当する倉重を演じる山本太郎はコミカルな明るさが逆に凄い怖い! お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2008.10.23 13:02:39
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