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カテゴリ:映画ログ
知的障害のある男性が男手ひとつで娘を育てる。同様のアメリカ映画「アイアムサム」は観ていない。南インドの田舎の村で、村のチョコレート工場で働きながら、クリシュナ(ビクラム)は愛する妻ナージに死なれてから女の赤ちゃんをとてもかわいがって育てた。「月」という意味のニラーとなずけた。親子は小さな家に住み、いつも一緒、工場へ行くときも買い物に行くときも抱っこして連れてゆく。ハイハイするようになりよちよち歩きするようになり娘は5歳になり、私立学校には入った。パパの知能を補ってチョコレート工場社長や上司や仕事仲間がいつも助けて、学校に入れたのもどうやら工場長の世話らしい。それほどクリシュナは大人しくて優しくて皆から愛されていたからだ。もちろん娘のニラーも世界一パパが好きだった。
こんな童話めいた夢のようなお話が、死んだ妻の父親の実業家が娘の忘れ形見のニラーを見つけて取り上げようとするところから、世知辛い社会一般人の見方が全面に出てきて、知的障害の父に対する見解がどうしようもなく立ちはだかってくる。裁判で親権を取り上げられそうになるが、女性弁護士とその部下が彼を助ける。 というようなお話だが、これはインド映画だ。タミール語圏の人気俳優ビクラムは本当は超ハンサムらしいがここではおどおどした目つきのはっきりしない顔つきで、演技力は大したもの。知らなかったら彼の正体がこうなのかと思いそうだ。けれどもインド映画としては当然だが、全然暗くならず楽しいエンタメ部分が沢山挿入されている。女弁護士が相手方の雇った大ベテランの大物弁護士を相手に互角に戦うところも、厳しいながら娯楽要素は忘れていない。やはりインド映画はいいなあ、と思うのはこんなところだろう。エンタメ要素といえば暴力とセクシーシーンだと勘違いしているどこかの国の映画と大違いだ。もちろん歌や踊りや、ユーモアの方が本当の正しいエンタメなのだ。 知能6歳の父とまもなく6歳になる子供をどうするかという難しい問題も、涙と人情のうちに解決して納めるところは、常套手段でやられたな、と感じたが、すべて気持ちよく納得できるのもインドの人の心の広さという良さが画面からにじみ出るからだろう。ニラーちゃんを演じる少女がとても可愛い。 (おまけ)裁判所風景が面白くてみもの。インドでは弁護士が有り余っているらしい。裁判所の玄関に警察から犯罪容疑者を乗せたトラックが付くとどっと仕事を求めて弁護士がとりかこみ、「開廷したら、即無罪で釈放にしてみせますよ!是非私に弁護させて!」と口々に叫んで勧誘していたのが笑える。マドラス州高等裁判所の中も、裁判風景も面白く司法の世界が娯楽になるとは驚きだ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
2014.12.20 00:23:27
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