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自然の狩人

自然の狩人

『真理子』(12)

緑が限りなく広がる、海原のようだ

風が吹き抜けて、広がる緑に風が通った道跡をつける

二人は並んで座っている視界の先の 広がる緑を眺めている

手は繋いだまま 繋いだ手からの感触は感じ取れない

傍らの男性の方に頭を寄せ 甘えるように身体を寄せる

男性が肩を引き寄せ 顔を寄せて 唇を重ねて来る

其の時 緑の草原に子犬が 可愛く吼えながら 飛び跳ねている

真理子はこの頃 風景は変わっても 男性と一緒にいる

夢を良く見るようになつた

そう、そんな夢を見るようになつたのは

あの日の後からだ

高校生活も順調に、勿論、友達も沢山出来た

勉強も、中間試験の成績も上位の結果だ

両親は武の経験からか、真理子のアルバイトは禁止された

その代わり、自転車通学なので 学校までの

交通費を小ずかい、として貰う取り決めになつた

月末に小ずかい帳をつけて、母に提出して、翌月の

お金を貰う事になつていた

月末に近い日曜日の朝方(日曜日は父も母も真理子も休みなので朝寝坊が習慣になつていた)

真理子は小ずかい帳を持つて階下の両親の寝室のドアを

そのまま、開けた 二つ並べられた布団の片方の布団に

父は 上半身裸で 母はピンクのブラジャーのまま

うつ伏せの状態で タバコを吸っていた

半分めくられた布団に、上半身が裸の両親の姿は

そう、親と言うより中年の男と女のだった

頭にテレビの洋画で写しだされるSexシーンが浮かんで

しまつていた

真理子は平静をよそ覆って、いいや目を合わせないように

なるべく普段と同じように 心を沈めて

『おこずかい帳もつてきたから』「はい」と」

立ったまま、母親の頭上にかざし

母は右手の吸いかけのタバコを灰皿にもみ消しながら

母も真理子の目を見る事無く タバコを、もみ消した手で

小ずかい帳を下から受け取った

部屋から出ると真理子は何故か もう一度

父と母の 一つの布団で父と母が上半身の裸の姿が浮かんで

しまつた

真理子の優しい働き者の母がもう其の時は

消えていた 

目を瞑ったまま仰向けに寝ている 父の母なのだと

朝食を兼ねた早めの昼食が出来たと2階の真理子の

部屋に呼びに来た ドア越しの声に普通に返事を

したが 何故か両親が一緒のテイブルは『嫌』だつた

2階の部屋を出て、通路から階下に向かって

普段のような声で そう、大きな声で「後で食べるから」

と叫んだ

著自然の狩人、、Billy

著作は放棄していません


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