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「幸せなお酒」

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2007年08月07日
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カテゴリ:カテゴリ未分類
その日は気持ちもからだも、どちらもクタクタに疲れていました。

汗みどろになって、その日の用事を全て終わらせて遅い時間に
入った食堂でのこと。

大阪のミナミの街のはずれにあるその店には、つかれた気持ちの
吹き溜まりのように、どんよりよどんだ空気が支配していました。

日曜の夜の遅い時間、その店にくるのは何か事情のある人たち
ばかりのようで、肩を落とした人たちが、次から次へと入って
きては、何も語らずに白いご飯を詰め込んでいます。


今日の出来事を振り返りながら、自分の中のやりのこした思いを
冷やしすぎて味気のなくなったビールで流し込んでいました。

思い通りにならないことの悔しさと、違うやり方もあったのでは
なかったと思う後悔、自分を責めてはため息をつき、疲れた
心に追い討ちをかけていたときのことでした。

となりのテーブルに若い女性がひとり席につきました。

乱れた髪を気にする余裕もないくらいに疲れた表情で、食券を
店員に渡すと携帯電話でメールを送っていました。

運ばれてきた定食を食べながらふと横をみると、その女性は
テーブルにつっぷしてあたまを抱えるように眠り込んでいました。

よほど疲れていたのでしょう。

若い女性が場末の定食屋でひと目をはばかることもなく、
眠り込むとは、どんな事情があったのかわかりませんが、
途方もなくクタクタに疲れていたのでしょう。

注文したものが運ばれてくる頃には起き出して、疲れたままの
からだでゆっくりと箸を動かしていました。


おつかれさま。

こころの中で声をかけて、自分よりも疲れた人がまだまだいるのだと
そんな当たり前のことにようやく気がついたのでした。






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最終更新日  2007年08月08日 09時18分26秒
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