昨年、がん探知犬による健康診断が、山形県金山町で始まったという話題を紹介した。がん探知犬は、良性腫瘍には、反応せず、がん患者が出す呼気や尿検査に反応し、有無を嗅ぎ分けて知らせ、100%に近い実績があるというものだ。健診では、尿の検体を使う。これに対して、今度は、8月に日立製作所が、体長1mmほどの線虫を使ったがん検査の実用化を加速させると発表した。線虫は、がん患者の尿に含まれる微量物質を嗅ぎ分ける性質を持っているそうだ。がん患者の尿には、近寄り、がん患者ではない人の尿には、離れるという特性を応用したものだ。日立製作所とベンチャー企業HIROTSU社との共同実験であるが、線虫の動きを自動で、撮影したり、分析したりできる装置を開発し、2020年までに実用化をめざすという。これによって、検体数が、日に100人程度に増え、がん探査犬同様にがん検診の負担軽減に繋げようというものだ。科学が発達した今だからこそ、応用できる技術かもしれないが、生物が進化の過程で獲得して来た多様な能力を医療に応用するというのも面白い試みだと思う。AIだけでなく、こういった自然を利用した試みが、今後も増えていくことを期待したい。(2018年12月5日号宮城県保険医協会外視鏡掲載文)
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2020年08月11日 10時45分32秒
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