放射線・放射能の話(6)
前回は、ベクレルについて解説しました。その次はシーベルトについての説明に入りたいのですが、そこにたどり着く前にはもう一つステップを踏まなければなりません。じれったく感じるかもしれませんが、お付き合いください。ベクレルはある物体から放射線が1秒間に放出される数という話をしました。ですが、数だけでは指標としては不十分です。たとえるならば、100個ピンポン玉を建物の二階から落とすのと、同じ場所から砲丸投げの鉄球を1個を落とすのでは、どちらが危険かを考えれば、単純に個数では比較できないことこが分かると思います。放射線には主に3種類あるという話をしたように、違う種類の放射線を個数だけで比較することは意味がありません。こういう時に便利な物理量はエネルギーになります。粒子(α線、β線)であれば質量と速度から、電磁波(γ線)であれば波長から決めることができます。しかし、単純にエネルギーの大小だけでも十分でありません。エネルギーが高くても物体を通過して物理的、化学的反応を起こさなければ影響はまったくありませんせんし、逆にエネルギーが低くても物理的、化学的反応をすれば影響を受けることになります。そのために吸収線量(単位はグレイ)という指標が使われるます。これは、物体が放射線から吸収したえエネルギーで定義され、一般的には1kg当たり、時間(秒か時間)当たりの量で表現されます。吸収線量は放射線の種類と当たる物体の種類によって異なり、人間に対する影響を議論する場合には水にあたったと想定して計算するようです。シーベルトは吸収線量から計算されます。吸収線量までは物理学でカバーできる範囲なのですが、しかしシーベルトは物理学だけでは説明できない量になります。うまく説明する自身はありませんが、次回それを試みてみます。にほんブログ村