カテゴリ:経済
私が売国奴と名指しする竹中平蔵総務大臣の主導で開かれていた『放送・通信のあり方に関する懇談会』、通称『竹中懇』の最終報告書が発表されました。この懇談会は、放送・通信のあり方を問い直すという建前で、事実上はNTTとNHKの経営体制・サービス形態をどう改編していくのかということを話し合ってきたものです
私はNHK改革についてはまだ勉強不足なので今回は発言を控え、NTT改革に絞ってコメントします。 最終報告書の中のNTT改革の骨子は、以下のような内容です 【NTT改革の概要】 ▽NTT東西の通信網機能分離を徹底 ▽NTT東西の業務範囲規制を段階的に緩和 ▽2010年に持ち株会社制廃止、完全資本分割 ▽完全資本分割後、再統合は制限 (フジサンケイ ビジネスアイ) - 6月7日8時32分更新 はっきり言って、これほど露骨な謀略はないでしょう。 NTTの持ち株会社を廃止して、サービス別にグループを垂直分割することが、IP技術革新の時代のサービスモデル開拓にどれほど効果があるのか、具体的に示してほしいものです。はっきり言って、この報告書には、「公正競争」の四文字の論理しか反映されていません。 技術革新というタームが実はクセモノです。 「公正競争」を信奉する新古典派経済学では、経済変動の要因としての「技術革新」を、「不安定で数値化できない」として、ゼロ要素として公式代入するのが原則になっています。 そのために、公正競争に晒された優良企業が、M&A対策などに追われてサービス向上のためのR&D(Research & Development 研究・開発)が疎かにしてしまうというケースが多いのです。技術革新のための資本的な余力を担保するような形での論理構築をしていないから、こういう帰結になるのです。 それなのに、「技術革新の時代のための新しいビジネスモデルの構築」と称して、潤沢な資本を提供していたNTTの持ち株会社を廃止し、結果、子会社を完全独立させると言っています。NTTを解体して資本基盤の弱小な会社を量産することが、果たして「技術革新の時代」における過酷な競争に勝ち抜けるだけの体力のある強い企業を作り出すことにつながるのでしょうか? そもそも、現在のNTTがIP技術で国際競争力を持っていないという基本認識自体がおかしいでしょう。光ファイバ技術にかけては世界一の技術シェアを持っているのに。そしてその高い技術力を支えていたのは、NTT持ち株会社が持っている自前の研究所の基礎開発研究であるわけです。 (NTTの過去の研究開発実績については、東京大学教授の石黒一憲 法学博士の著書『国際競争力における技術の視点―知られざるNTTの研究開発』などが詳しく扱っています。) NTTを解体した場合、得をするのは、KDDINTT以外の通信業者ですが、彼らがいったいどのような形で技術革新の時代に対応していくのかは、はっきりと示されていません。 現在はむしろ、IPサービスをメインとして、再編されたAT&Tなどの企業が世界市場を求めて世界進出しようとしているのに、どうして、国際競争力のあるNTTをつぶす必要があるのでしょう?これは考える価値のある謎です。 次回は、この謎について書き込みます。 今の心境を言います。竹中大臣、公正競争を叫ぶのなら、アメリカに資産を移さず、税負担面でも自分自身が国民に対してフェアに振舞ってくれ。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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