「百学連環-百科事典と博物図譜の饗宴」@印刷博物館
夕方の新宿での打ち合わせ以外には仕事が入ってなかったので、友人からもらった「百学連環-百科事典と博物図譜の饗宴」展を見に飯田橋の印刷博物館までの20km近くを、ダイエットがてら歩いてみることにしました。途中、憲政記念館と山種美術館に寄り道。 国会議事堂のすぐそばにある憲政記念館では入り口で憲政の神様・尾崎行雄が帽子を取ってお迎えしてくれます。今ちょうど「重光葵とその時代」展を開催中で、彼がミズーリ号上で調印した降伏文書の実物を見ることができたり、鳩山一郎や吉田茂のメモや日記が覗けたりとなかなかボリュームのある展示に満足しました。人が少ないとかと思いきや、地方から後援者が国会見物に来たついでに来るのでしょう、ちょうど団体さんが来ていました。入場は無料なものの、入り口で年齢とどのあたりからきたのかの記入を求められるのですが、一般客と「先生のご招待」で記入する紙が違っているのが、そのあたりの事情を感じさせました。 あと憲政記念館が特別だな、と感じたのは、展示室の隅に腰掛けている係のお嬢さん方が若くてきれいな子ばかりだったことです。きっと地方から推薦されてくるのだろう、と勝手に想像してしまいました。 憲政記念館を出て飯田橋に向けて内堀通りを歩いていると山種美術館を発見。日本画専門の美術館ということで立ち寄ってみました。ちょうど「秋の彩り」展をやっていて横山大観や奥村土牛などを展示していましたが、圧巻だったのは奥田元宋の奥入瀬を描いた屏風絵(なのかな?)。壁一面の大きな絵で、ちょうど空調のうなりが奥入瀬渓流のせせらぎに聞こえて、非常にいい感じでした。ほかにも安井曾太郎や竹内栖鳳、竹内浩一あたりが気に入りました。ただ800円はちょい高いかな? 私はぐるっとパスのおかげでついでに立ち寄れたので大満足でしたが。 山種美術館から靖国神社に至る直前では千秋文庫なる文書館があり、古地図展をやっていて興味を惹いたのですが、いかんせんそろそろ時間が危なくなってきたので、再訪を誓いつつ素通り。 印刷博物館の「百学連環」展はポスターを見ても魅力的に感じられず、チケットをもらわなかったら訪れなかっただろう展覧会でしたが、訪れてみてビックリ! 入場早々明代に刊行された『山海経』(最初は中国の戦国時代)はある、フランス革命のキッカケともなった『百科全書』はある、『解体新書』の元本である『ターヘル・アナトミア』はある、大興奮の代物でした。この3冊の名前に興奮できる人なら是非会期中に行かれることをお勧めします。 さらに1階に上がって、こちらは無料で開催中の「日本とドイツの美しい本展2006 「第41回造本装幀コンクール展」と「ドイツの最も美しい本2006」」展も見学。一昨年もこの展示を見たのですが、色数を抑えたシンプルなドイツの装丁はすごく面白いです。今回目を惹いたのはジョイスの『ユリシーズ』でした。ペーパーバックに厚紙の表紙をつけ、赤のタイポグラフィで決めた見事な装丁もさることながら、これが12ユーロ(約2,000円)で、しかも2万部も刷ったというところに愕然としました。日本だったら2,000部がやっとじゃないでしょうか。そうなると値段はもっと高くなるでしょうね。 ということで印刷博物館の展示に大満足。ミュージアムショップで以前のカタログを含めて購入しましたが、カードが使えて助かりました……っていうか罠? その後の打ち合わせには、さすがに時間の都合で徒歩は取りやめましたが、それでも歩数計の数字は32,000歩に達して、自己満足に浸った一日でした。p.s. でも翌朝計ったら体重はほとんど減っていませんでした。いい気になって、晩に焼鳥屋で飲み食いしすぎたようです。やはり出るを計って入るを制さないと体重はなかなか減りませんね。