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2022.04.23
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カテゴリ:読書
宮城谷昌光『公孫龍』巻二 赤龍篇が手元に届いた。昨年は氏の新刊ラッシュにより多くの豊かな時間を与えてもらったが、この『公孫龍』に関しては、巻一 青龍篇の刊行から実に一年三カ月を経ての第二巻である。



この作品もまた、旅、仲間、親しい存在との葛藤、英傑との出会い、成長という、宮城谷氏が持つ「黄金の型」から生まれた物語である。
主人公を巡る人物相関図も、舞台となる土地や国も目まぐるしく変わる。‘おさらい’のために、青龍篇を読み返した。
再読してみて「これほど面白かったか」と少々訝しくなるほど、昨年読んだ時より遥かに深くその世界に浸ることができた。読書で時間が経つのを忘れた、というのもかなり久々の経験であった。
『太公望』や『奇貨居くべし』では盛り沢山であった脇役の描写やエピソードが少なくなり、濾過されて雑味のない液体の如く物語の主眼や作者の思想が味わえる。
そこで、あくまで拙い読み手の印象なのだが、本作より二つ前の長編『湖底の城』辺りから、天、という概念が氏の物語にとって非常に大きな意味を持つようになった感がある。



例えば『湖底の城』では、

旅行中に人に救われたことは、天に助けられた、と言いかえることもできる。しかしながら、天はすべての者を助けるわけではない。孫武の志の高さが天を打ったがゆえに、天は救助の手をさしのべてくれた。もしも天が、この者をここで死なせるには惜しい、と思ったのであれば、孫武はのちに天を感動させるほどの事業を完成させることができる、という示唆をうけたことになる。

そして、「青龍篇」になると、序盤から天、天意の言葉が連なる。

それでもあなたさまは生きぬき、生きる意義を、天意に従いつつ、ご自身で創造なさるべきです

まさに孔子が「五十にして天命を知る」と言ったように、天は儒教の基底をなす要素であるが、宮城谷作品における天に黴臭さはない。
この場合、天意に従う、とは運や流れに身を任せるということではなく、己がこの世でなすべき役割を模索し、みつけたらそれを成し遂げるために懸命に生きる、ということである。
死ぬ日までを生きるのではなく、己が為すべき何かを成し遂げるために生きなければならない。それを素晴らしい物語によって教えてくれるのは、司馬遼太郎亡き今、宮城谷昌光だけである。

すでに巻一の段階で趙の武霊王、平原君、燕の昭王、郭隗、そして往年の名作の主人公、楽毅も登場し、舞台は繚乱の様相を体している。
巻二の展開に期待できない理由などない。
明日は、午前中にようやくというべき三度目のワクチン接種である。散歩も控えて、至福の読書を楽しみたい。



どうでもよい話だが、昨年、巻一を手に入れた日は室蘭転勤の内々示があった日だった。天命の物語の到来と人生に転機をもたらす知らせが重なった。今回はどうか。何となく周囲のキナ臭さに潮目の変化を感じているのである。
齢四十二の己に下された天命は未だ分からない。

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公孫龍 巻二 赤龍篇 [ 宮城谷 昌光 ]



公孫龍 巻一 青龍篇 [ 宮城谷 昌光 ] 


呉越春秋 湖底の城 第一巻 [ 宮城谷 昌光 ]



孔丘 [ 宮城谷 昌光 ]








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最終更新日  2022.04.26 22:32:46
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