演 奏 会 の 旅

2022/08/20(土)10:05

泉真由 フルート・コンサート in 長和町

開催日:2022.8.18(木) 19:00開演 場所 :長門町民センター 集会ホール サントミューゼの上田地域定住自立圏連携事業 泉真由 フルート・コンサート in 長和町へ行ってきました。 プログラム 1.G.フォーレ/ファンタジー Op.79 2.G.フォーレ/シシリエンヌ Op.78 3.C.ドビュッシー/シリンクス(フルート・ソロ) 4.C.ドビュッシー/月の光 5.上林裕子/Les Sentiers~フルートとピアノのための小品集「道の記憶」より   I.雨上がりの道 III.三角と四角の道 IV.帰り道で V.木漏れ日の道 6.武満徹/声(ヴォイス)(フルート・ソロ) 7.P.ゴーベール/フルート・ソナタ 第3番 アンコール 7.C.ドビュッシー/亜麻色の髪の乙女 レポート ファンタジー オープニング曲を演奏後、泉氏と松山氏の自己紹介タイムを経て、このファンタジーはフルート奏者界隈では名曲中の名曲として知られている曲とのお話しがありました。楽曲的には、けっこう早いパッセージもでてきて、技巧的にもアピールポイントがあり、まずはフルートの何たるかを聴衆に広く知ってもらおうという想いも込められていたのかなと感じました。 シシリエンヌ フォーレと言えばこの曲!という程おなじみですが、これまでヴァイオリンやチェロ、オーボエといった楽器で何回も聴いてきたものの、フルートでの演奏はまた違った魅力を感じました。先日のコンサートで知った「フルートの淡い音色の魅力」ということを想像しながら素晴らしい演奏に釘付けとなりました。そして泉氏より、このシシリエンヌが作曲されたのが、じつはファンタジーの1つ前だったので、どこか似ている部分があるのかな?とのお話もあり、いわゆる作曲番号につくOpの番号を意識して聴いてみるのも新たな発見がありそう!と思いました。 シリンクス こちらもフルート奏者界隈ではド定番の曲との紹介がありました。また神話をもとに書かれた曲でパン神が大好きな妖精を追いかけたら、妖精が追いかけられるのをいやがって葦に姿を変えてしまい、パンは大いに悲しんで葦で笛を作って吹いたという感じで、ある意味現在の木管楽器の主流となっているクラリネット・サクソフォーンという葦のリードを使う楽器群の起源にもなりうる神話かなと思いました。 月の光 ピアノコンサートでは、レギュラープログラムはもちろんアンコールでもよく演奏されるピアノのド定番曲と思いますが、フルートとピアノにアレンジされたバージョンはピアノだけとは違った魅力がありました。「淡い音色の魅力」がここでも存分に発揮されており、太陽の光が濃い光とすれば月の光は淡い光とイメージすることもでき、そういった意味でも、月の光の世界がより深く表現されているような印象がありました。 Les Sentiers~フルートとピアノのための小品集「道の記憶」より 小品集からの抜粋演奏になりましたが、泉氏は作曲者の上林裕子氏との親交があるそうで、そのお話や演奏する曲の情景についての紹介がありました。曲名「道の記憶」の通り、情景がさまざまな浮かんで来るとてもすてきな楽曲でフルートの美しい音色を最大限に生かしている感があり、この小品集をいつか全部聴いてみたい誘惑に駆られた次第です。 声(ヴォイス) 気がふれた訳ではないので驚かずに聴いて下さい!と前置きしてから演奏が始まりましたが、まず冒頭の掛け声に「何か起こった?!」と驚くとともに、断続的に入るかけ声やいろいろな特殊奏法のオンパレードに現代曲という芸術を見せつけられた感がありました。特殊奏法の中には、よくサクソフォーンでやっているのを耳にするスラップタンギング的なものもあり、演奏後にこの曲が発表された時世界に激震が走ったというお話もあり、それまでの音楽の枠をすべて取り払った自由で斬新な表現を存分に感じさせていただきました。 フルート・ソナタ 第3番 フルート吹きにして作曲家のゴーベールの作品ということで、本日のコンサートを締めるに相応しい大曲感がある曲でした。ヴォイスを聴いた後だから、なおさらそう感じるのかもしれませんが、フルートの淡く光輝く音色に終始引き寄せられた次第です。後で知ったことですが、泉氏は18金のフルートを吹かれているとのことで、そういった輝かしい黄金の響きというのもプラスに影響していたのかもしれません。 亜麻色の髪の乙女 60分という公演時間を少しオーバーしていたのでアンコールは無しかな?と思っていたら、うれしい誤算で泉氏が最も好きな作曲家の1人というドビュッシーのこちらの曲をアンコールとして聴くことができました。 まとめ 会場の長門町民センターの集会ホールですが、ステージのバックがガラス張りになっており、昼間は開放的な田園風景が臨め、夕方から夜にかけてはだんだんと暮れてゆくグラデーションを楽しみながらコンサートを楽しめる大変素晴らしい会場と感じました。そのことについては泉氏も触れており、平素はおそらく外が見えない閉鎖空間で活動することが多い音楽家にとっても癒しのひとときだったのかもしれません。またコンサートの選曲については泉氏が好きな作曲家の曲を集めたというお話があり、ドビュッシーについては、いわゆる♭や♯がたくさんついている調性ゆえの深みが感じられる点がとても気に入っているということでした。

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