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カテゴリ:吹奏楽
開催日:2022.12.2(金) 19:00開演
場所 :上田市交流文化芸術センター サントミューゼ小ホール(320名収容) 神谷未穂ヴァイオリン・リサイタルへ行ってきました。 プログラム 前半 1.R.シューマン 3つのロマンス作品94 第1曲「速くなく」 第2曲「素朴に、心より」 第3曲「速くなく」 2.J.ブラームス ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第1番 ト長調「雨の歌」作品78 第1楽章 ヴィヴァーチェ・マ・ノン・トロッポ 第2楽章 アダージョ 第3楽章 アレグロ・モルト・モデラート 3.J.ブラームス 「F.A.E.ソナタ」より第3楽章 スケルツォ 後半 4.C.ドビュッシー 「子供の領分」より“ゴリウォッグのケークウォーク” 5.C.ドビュッシー ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ト短調 第1楽章 アレグロ・ヴィーヴォ 第2楽章 間奏曲 ファンタスク・エ・レジェ 第3楽章 フィナーレ トレ・ザニメ 6.K.シマノフスキ 夜想曲とタランテラ 作品28 アンコール 7.J.マスネ タイスの瞑想曲 8.G.ディニク ひばり レポート 3つのロマンス コンサートのオープニングは、神谷氏の演奏家としての道筋を決めたというこちらの楽曲となりました。タイトル通り、愛を語ることでは右に出る作曲家はいない印象のあるシューマンの作品ですが、最愛の妻クララへの深い想いが綴られていると言われており、ほんとうにロマンチックな作品だと感じました。 ピアノとヴァイオリンのためのソナタ 第1番 ト長調「雨の歌」 ブラームスというと、とかく暗くて深刻かつ重厚な作風が特徴的という印象がありますが、こちらはそんなイメージとは違った明るくてとてもさわやかな曲調で雨の歌というより朝の歌?、晴れの歌?、春の歌?といった題目が似合うような風情で、聴いていてとても癒されるものを感じました。ちなみに昨年のレジデントアーティストで7月に開催された伊藤文乃ヴァイオリン・リサイタルでもプログラムの1曲目が3つのロマンス。2曲目が雨の歌という全く同じ構成だったことから、ヴァイオリニストにとってこの2曲はある意味バイブルのような作品なのかなと感じました。 「F.A.E.ソナタ」より第3楽章 スケルツォ 神谷氏によれば、ダダダダ!ダダダダ!というリズムがベートーヴェンの運命を感じさせるものがあるとのことで、なるほどと思いました。またF.A.Eソナタはこの第3楽章だけが突出してよく演奏されており、それだけ傑作だと感じるものがありました。 「子供の領分」より“ゴリウォッグのケークウォーク” 神谷氏によれば、ドビュッシーは、年を重ねてから得た愛娘への愛情から、子供のための楽曲を手がけるようになり、その代表的作品が子供の領分という位置づけということで、この“ゴリウォッグのケークウォーク”は、その第6曲になるとのことでした。演奏に先だって、ゴリヴィックとは何か?ということを視覚的に感じてもらおうと、黒人の姿をした機械人形のパネルがステージ上に提示されましたが、演奏が始まるとパネルの人形が踊っているかのような錯覚を受けた次第です。 ヴァイオリンとピアノのためのソナタ ト短調 ドビュッシーが生涯で最後に手がけた楽曲で、じつは6曲の計画だったが3曲できたところでこの世を去ったというお話がありました。ドビュッシーは1918年に亡くなっていますが、当時多くの作曲家が彼の死を悼んで偲ぶ音楽を流し続けたということです。解説によれば、この曲を創作中に病状が重くなり、苦闘の中で最後に残された時間を結晶させたような作品とのことで、実際の演奏を耳にした感じとして、ほんとうにひとときも聞き逃せないような緊迫感と密度の濃さに、ある種の高揚感を感じずにはいられませんでした。 夜想曲とタランテラ 近代ポーランドを代表する作曲家シマノフスキの楽曲ですが、夜想曲は夜の音楽。そしてタランテラとはタランチュラに噛まれた主人公が恐怖から踊り狂う様を描写したもので、その視点の面白さもあいまって、改めて音楽を起草するにあたっての種は本当にいろいろあるのだなと感じました。 タイスの瞑想曲 アンコール1曲目は、ヴァイオリンのコンサートでは定番曲のこちらの楽曲になりましたが、濃密なプログラムの後のクールダウン的な感じを受けつつ、改めて会場全体が神谷氏の名演に酔いしれる感があったように思いました。 ひばり アンコール2曲目は、神谷氏が得意とする鳥の鳴き声を含むこちらの楽曲が披露されましたが、これでもかと表現される鳴き声に目を閉じるとヴァイオリンではなく本当に鳥がそこにいて鳴いているかのような錯覚をしてしまい程リアリティーがありました。 まとめ 神谷氏よりサントミューゼのレジデントアーティストを務めるのは3回目(2014年、2018年、2022年)というお話があり、これはもちろん最多な訳ですが、今回は神谷氏とピアニストの望月氏ともども1部は純白のドレス、2部は黒系のドレスといずれも新調したドレスを着用して登場し、会場から感嘆の声が挙がる場面がありました。また神谷氏より「演奏家にとって新しいドレスを始めて着る公演は特別な意味がある。」とのお話もあって、演奏家のお二人にとってはいつにも増して気合の入った公演だったことが伺え、その公演を生で鑑賞できたことに喜びを感じた次第です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
December 4, 2022 09:16:56 AM
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