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カテゴリ:吹奏楽
開催日:2023.3.5(日)14:00開演
場所 :岡谷市文化会館(カノラホール)大ホール(1,446名収容) 千住真理子ヴァイオリン・リサイタルに行ってきました。 プログラム 前半 1.J.S.バッハ:G線上のアリア 2.モーツァルト:ピアノ・ソナタ 第11番より アンダンテ・グラツィオーソ~トルコ行進曲 3.ベートーヴェン:ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」ヘ長調 作品24 4.ヴィターリ:シャコンヌ 後半 5.イングランド民謡:グリーンスリーブス 6.ブランドル/クライスラー編:オールド・リフレイン 7.リリウオカラニ/クライスラー編:アロハ・オエ 8.フォスター/ハイフェッツ編:金髪のジェニー 9.ロシア民謡:黒い瞳 10.カタロニア民謡:鳥の歌 11.アイルランド民謡/クライスラー編:ロンドンデリーの歌 12.モンティ/チャルダッシュ アンコール 13.エルガー:愛のあいさつ 14.ニュートン:アメイジンググレイス 15.ホルスト:ジュピター(組曲「惑星」より<木星>) レポート G線上のアリア リサイタルのスタートは厳かに始まりました。まずは、千住真理子氏が愛器デュランティを操ってどんな素晴らしい音色を響かせるのか・・・満員の会場の聴衆は耳を澄ませて集中した感がありましたが、まずもって感じたのは、デュランティはヴァイオリンだが、ヴァイオリンの音色ではなくデュランティの音色なんだなということで、その強い個性を改めて認識することとなりました。 アンダンテ・グラツィオーソ~トルコ行進曲 千住真理子氏と山洞智氏が協力して編曲した作品という案内があり、裏話ではないですがあれもこれもとやっているうちに難しいものになってしまって、弾くのに汗が出ます・・・。とのことで千住真理子氏の本気モードを垣間見る1曲になりました。おなじみのトルコ行進曲ではありますが、最初に序曲的な感じでアンダンテ・グラツィオを付けてあるところが、その後にくるトルコ行進曲をいっそう際立たせるのにとても役に立っているのかなという印象がありました。 ヴァイオリン・ソナタ第5番「春」ヘ長調 作品24 千住真理子氏は、今回のリサイタルの中で1曲だけヴァイオリン・ソナタを組み入れるプログラムとし、それならば今の季節感にぴったりのこちらの楽曲!とのことでした。紹介の中で、第5番は全10曲あるベートーヴェンのヴァイオリン・ソナタのちょうど真ん中であること。また当時ベートーヴェンは耳と目に障害が出つつあり、将来への大きな不安を抱えていたにもかかわらず、こんなに春の希望を感じさせるすてきな楽曲を書いたこと。そんなベートーヴェンへのリスペクトを込めた上での演奏なのかなと感じました。 シャコンヌ 千住真理子氏が中学の頃に出会い、この曲を弾けるようになることを目指して練習を重ねていたというお話があり、千住氏にとってとても大切な曲で是非みなさんに聴いていただきたいという紹介がありました。演奏家あるある的な面もありますが、アマチュアでも子供の頃に出会った曲というのは、印象に残りやすいもので、そんな千住氏の想いを受け止めながらの鑑賞となりました。 グリーンスリーブス 後半は、2021年に発表したアルバム「ピースフル・メロディー」に収録された各国に伝わる名曲の数々の演奏となりました。その1番手となるのが、イングランド民謡のグリーンスリーブスでしたが、イングランド民謡といっても日本でもお馴染みの曲なので、親しみを持って聴かせていただきました。 オールド・リフレイン 紹介では、ドイツの楽曲とのことで、酒場などでみんが腕を組んで歌うようなイメージとの紹介がありました。賑やかな曲かと思いきや、とてもしっとりとしていてそれでいて故郷やゆりかごを想わせるような暖かい曲調が印象的でした。 アロハ・オエ あのアロハ・オエがクライスラーのアレンジでこんなすてきな楽曲に仕上がっているとの紹介がありました。聴いてみると、原曲の雰囲気は残しつつも、しっかりとクラシック音楽調という感じになっていました。 金髪のジェニー 語りかけるような調べがデュランティのやさしい音色と合いまって、とても暖かな気持ちにさせられる。至福の時という表現がぴったりの楽曲かなと思いました。 黒い瞳 ロシア音楽特有の寒々とした雰囲気が曲調に出ており、そのテンポ感もあいまって今の世界情勢・・・ロシアから見た世界観が多少なりとも表現されているのかな・・・と感じた次第です。 鳥の歌 チェリストの巨匠カザルスが国連で演奏する際に「カタロニアでは鳥はピース(PEACE)と鳴く。」とコメントしてから、この曲はカザルスの鳥の歌と呼ばれるようになったという紹介がありました。また千住真理子氏がリサイタルで絶対に演奏したい1曲でもあり、平和への願いをこめて、襟を正しつつ聴かせていただきました。 ロンドンデリーの歌 ダニーボーイでも知られる楽曲で、その点について千住氏からも言及がありましたが、私的にはロンドンデリーの歌の方が馴染みがあるかなというところです。余談ながら管楽器の教則本にも入門用楽曲として掲載されており、私自身も楽器を習いたての頃に親しんだ想い出があり、そんなこんなでやっぱり名曲なんだなあと感じた次第です。 チャルダッシュ 多くのヴァイオリニストが課題曲のように弾く楽曲ですが、それだけに弾き手の個性を感じやすい曲とも言えます。そして千住真理子氏と愛器デュランティによるチャルダッシュは今回初の鑑賞ということでとても楽しく聴かせていただました。 愛のあいさつ アンコール1曲目。こちらもリサイタルのオープニングの定番曲ということもあり本当によく演奏されている曲なので、その響きの1つ1つを深く味わいつつ楽しませていただきました。 アメイジンググレイス アンコール2曲目。アンコール演奏にあたって千住氏はマイクを使わずに曲名をコールされていましたが、そんな千住氏の肉声を間近で聴けるのは前方の客席の特典かもというところで、とても親近感を感じた次第です。 ジュピター アンコール3曲目。リサイタルの締めくくりは、ホルストの大きなスケールを持つ木星からの抜粋演奏となりましたが、これまでのリサイタルの総括としていろいろなことがあるけれど宇宙規模で見れば、人類の営みも一瞬の出来事なのかな・・・と感じると気が楽になったような感じがありました。 まとめ 昨年の7月の大賀ホールでのリサイタルに続いて千住真理子氏のリサイタルは2度目となりますが、改めて愛器デュランティと一体となった演奏の数々を楽しませていただけました。またそのデュランティについて千住氏から「いま時分のように乾燥している気候がデュランティは大好物なんです!」との紹介もあり、そういえば昨年夏のリサイタルより音色がより充実していたような感もあり、よい時期によい演奏を聴けた幸運を感じた次第です。 お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
Last updated
March 12, 2023 01:08:32 PM
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