第3章法然の謗法を断罪する
第3章法然の謗法を断罪する これに基づいて見てみると、法然は、曇らん、道しゃく、善導の誤った注釈を引いて、聖道門・浄土門、難行道・易行道の主張を立てて、法華・真言を含めて釈尊一代の大乗六百三十七部二千八百八十三巻すべてと、すべての仏や菩薩たちと諸天善神などを皆、聖道門・難行道・雑行等に収めて、それらを捨てたり、閉じたり、閣いたり、なげうったりしたのである。この「捨閉閣ほう」の四字で多く一切の人々を迷わせ、さらには、インド・中国・日本の三国の聖僧や十方の仏弟子を皆群賊と呼びその上罵らせたのである。近くは、自らが依拠する浄土の三部経の「ただ五逆罪を犯した者と正法を誹謗する者のみを除く」(「無量寿経」)との法蔵比丘(註11)の誓願の文に背き、遠くは釈尊一代五時(註12)の肝心である法華経第二巻の「もし人が信じないで、この経を謗るならば(中略)その人はこの命が終わると阿鼻地獄に堕ち入るだろう」(比喩品第三)との戒めの文に迷うものである。註11阿弥陀仏が菩薩として修行していた時の名。註12釈尊が一代で説いた教えを天台大師がその内容によって五期に分類したもの。華厳時・阿含時・方等時・般若時・法華涅槃時に分けた。