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温故知新

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2008.11.11
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大部屋の隣の医療個室に中学生位の男の子が入った。
医療個室には重症の子どもや新生児程の赤ちゃん、娘のようにMRSAが検出された子どもなど、病院の事情で個室が良いと判断された子どもが入る。

元気そうだし、娘のようにガーゼを当ててる訳でもなし。
見た目にも普通の中学生。
一体、何かしら?などと思う間もなく、スグに事情が分かった。
隣の部屋から尋常でない物音がしてきたのである。

叩く、蹴る、奇声。
隣の部屋とはいえ娘のベッドは彼の部屋と壁一枚の隣ではないのだが、それでも、ビクッと肩が上がってしまうほどの音があがる。

彼の部屋の前を通ると、ブラインドで遊びたいらしく部屋の中が丸見えになっていた。
部屋の中はしっちゃかめっちゃか。
医療個室のクロゼットが壁に打ちつけられたように傾いていた。
母親らしき人が奥の窓際に。
スポーツウェアの上下を着たがたいの良い若そうな男の人が、扉を守るように椅子を置き背中を見せていた。
出入りの度に施錠をしているようだったが、1度だけ走り回っている彼を追いかけているらきし騒動を聞いた。

重度の知的障害を持つ発達障害、か、それとも他にも私の知らない何かがあるのか。
彼の大暴れは体力尽きることを知らず、夜、薬でも飲んだのだろうか、プツッと突如途切れた。

夜中。
寝苦しさを感じて目を覚まし、ついでにお手洗いへと立つと、隣の部屋の電気が目を引いた。
見ると、あの男の人は夜もそのままいるようで、昼間見たまま、扉を背にして椅子にドッカリ座っているのがブラインドの陰で分かった。

こういうシチュエーションのために泊まりのヘルパー制度があるのか…。
痒い所に手が届く、行政にしては素晴らしい制度だな、と思って部屋に戻った。
彼は歯科口腔外科の手術をし、次の日には退院していった。
もしかしたら部分麻酔で出来るような治療を全身麻酔で行ったのかな、と勝手に想像された。
たまたま退院時の挨拶に出会したのだが、その時の会話で驚いた。
ヘルパーと勝手に思っていた男の人はヘルパーではなかった。
中学生の父親だった。
がたいが良く若々しい感じではあったが、なるほど、前からきちんと見れば確かに、それなりの年輪が垣間見えた。

2泊3日とはいえ、働き盛りの父親が休みをとって、扉を背に椅子で仮眠をとらなければいけないとは…。私たちは、そんなに特別な育児をしなければならない、そんな何かを背負わなければならないのだろうか。そんなに私たちは異なっているのだろうか。

なんだか気持ちがふさいでしまった。





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Last updated  2008.11.12 13:13:28
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