マネジャーの能力・リーダーの能力(2)
(続き) 管理職選抜の方法、もっと平たく言えば昇進人事で考慮すべきポイントの紹介は、書店で簡単に見つけることができます。だいたいのパターンでは、こういう属性・志向性・行動パターンを持った管理職がこれからは活躍します。実際の事例としてはたとえばX社、Y社、Z社などの最近の素晴らしいものがあります。貴社はそういうものを持った従業員をどう処遇していますか・・・正当に評価していないために、その他大勢に埋もれさせては潜在的損失です。(a) そこで、このような指標で埋もれた従業員を正当に評価しましょう。あるいは、(b) きちんとした評価ができる人、つまりアセッサーをこのようなポイントに気をつけて育成しましょう。というような内容になっております。1については、ずっと以前から、同様な論調の本が日欧米で数多く出版されてきています。ただ、ここをあまりにも強調している本は、比較的早く内容が古くなりがちです。リーダーであってもマネジャーであっても万古不易、経営環境や組織形態の変化に影響を受けないコア役割が占める部分は大きいという前提に立ったとします。その際、特に厳しい競争的環境に応じて、とか、戦略的な変化を促進するためのファシリテーターとして、ピンチヒッター的、短期成果を目指して、という動機で新規選抜が行われるとすれば、1の「これからは」という部分については熟考の要ありです。どのような時代にも、あるいはどのような経営環境であっても等しく不可欠なコア役割は歴然として存在し、これをしっかり果たすことができなければ、いくら最新の状況において最適な動きを進めようとしても難しいと言えるでしょう。つまり、これまですぐれたリーダーやマネジャーが求められ、それに合う人材の兼ね備える行動化・言語化・思考・知識創造・対人スキルなどのノウハウが十分に高くなければ、いくら新しいことができても、最新の業界動向に通暁していても、多大な知識と経験があっても、彼・彼女が本来示すことができるポテンシャルを出し切って結果をもたらすのは難しくなります。他社の事例を多く参照することによって、リーダー・マネジャーの選抜基準が明確化することも確かにありますが、これも事例の情報量によりますし、事例の対象企業の資源・制度・文化という少なくとも3つの(部外者にはわからない・誤解しやすい・通り一遍の理解に留まる)ブラックボックスの中身を的確に、しかも自社にあてはめ比較し評価することができるだけの人材の活躍が担保されていないと何ともなりません。自社の内部プロセスを分析する努力を他社のベンチマークにもっぱら向けてしまったとすると、その後に、良い(=組織目標達成に資する)リーダー・マネジャーを選抜することは難しくなります。人事アセスメントの考え方・技法などについて基礎的文献2点人事アセスメント入門人事アセスメント論