2016/10/11(火)23:21
末次由紀 『 エデンの花 』…… バカバカしくてもやめられない、愛すべき 「メロドラマ」
★ 『 エデンの花 』 末次由紀 (2000~2004年 作品)
『 ちはやふる 』 (2012.3.12.の日記) の作者による長編少女漫画 (全12巻)。
末次さんの 2005年以前の単行本は、トレース問題で殆ど絶版になっているので、古本で入手 (わざわざ)。
これぞ、 「ザ・少女漫画」 というような、メロドラマだす。
まるで、韓国ドラマを観ているようだ…と思ったら、実際、韓国でドラマ化の寸前だったらしい。
私もいい加減、メロドラマは卒業した…つもりだったが、つい、うっかり、没頭して読んでしまった…。
「兄妹生き別れ」 とか 「虐待」 とか 「いじめ」 とか、お約束の 「不幸シチュエーション」 満載だが、絵柄が可愛らしいせいか、そもそも、この作者は、他の短編を読んでみても、とことんドロドロしたものが描けない性格のようで、余り悲壮感はない。
「メロドラマ」 の、長所とも短所とも、ビミョーなところは、読んでいる (観ている) 最中は、先が気になって止められないのに、終わってしまうと、ひどくあっけなく、徒労感すら覚えてしまうところだ。
不幸なラストやウヤムヤな結末は後味悪くて嫌なんだけど、絵に描いたようなハッピーエンドも、終わってしまえば、「なんだったんだろ」 …という心地しか残らない。一時的に熱に浮かされていた感じだ。
他愛なく過剰な紆余曲折が見えてるのに、恋愛メロドラマを読んだり観たりするのをやめられないのは何故?
齢70歳代の実家の母親なんか、似たような韓国ドラマを次々と、もう何年も、観ても観ても飽きないらしい。
やっぱり、現実には滅多にいないような、 「顔よし」「頭よし」 「スポーツ万能」 「金も地位もあり」 「優しい」男が、何人も出てくるからだろうか。
それだけでもあり得ないのに、上記のような高スペックの男たちが、ヒロインに対して、とことん 「誠実」 で 「一途」(このハードルは結構高いゾ )。
あのね~、こんな男が2人以上、同時期に身近に存在すること自体、あり得ないと思いますが~。
「同じ生活域に単独犯の猟奇殺人者が2人同時に存在する」確率より、低いんじゃないかしらん。
ともあれ、 『 ちはやふる 』 の、女心をくすぐる恋愛描写の技は、一朝一夕のセンスではなく、その前の十数年の執筆活動で培われたものなのだな…と、色々と過去の作品を読んでみて分かった。
この人の漫画は、設定や大筋は、概ねありきたりなんだけど、キャラクターと心理描写で見せたいタイプなんだと思う。
活動休止で連載中止になった 『 Silver 』 (2巻) も、「人間の少女と、ロボットとの恋」 っつう、使い古された設定ながら、結構いい感じで、最後まで読みたかった。返す返すも残念だ。
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