雪白の月

2016/10/11(火)21:54

岩本ナオ 『 町でうわさの天狗の子 』…… 「普通の子」 みたいな 「天狗の子」

漫画・アニメ(346)

★ 『 町でうわさの天狗の子 』 岩本ナオ(2007年~) レンタルコミックにて、既刊11巻まで読了。 なんとも不思議なテイストの作品だ。 まず、絵柄が独特。 ヒロインや、数人の男女はそこそこ可愛いが、脇役の殆どが不細工というか、表情がかなりパターン化されているところが、「昔ながらの漫画」 的だ。 展開や感性は非常に少女漫画的なので、その辺のチグハグ感はあるが、慣れてくると、これはこれで病みつきになる。 主人公が霊力や妖力のような特殊な能力を持ち、式神だか神使だかボディーガードだかに護られる…的な話は、最近の漫画やアニメでは、もう腐るほどあるけれども、この作品のちょっと珍しいところは、ヒロインが天狗と人間の 「合いの子」 であることを、町の人やクラスメートが周知していて、何の疑問も持っていないらしきところだ。 しかも、差別があるわけでもなく、限定的にリスペクトはされているらしいが、異常に親バカな天狗とか、人間に化けて町に出入りする 「眷属 (神の守護やお使いをするもの)」 とか、どちらかと言うと、設定的には、ほのぼのギャグ漫画の風情。 ふざけた設定の割に、ヒロインの悩み事は意外とシリアスで、人間関係の構築・維持に悩む思春期の少女の葛藤を普通に描き出している。 しかし、その葛藤にも、最近の少女漫画にありがちな 「過剰な深刻さ」 はない。 「モテるモテない」 で決まる露骨なスクールカーストとか、「ブスは一歩退くべき」 的な暗黙の法則は余り存在せず、恋愛に対しては、どちらかと言うと受け身な男子に対し、女の子たちはアイドルを争奪するかのように正々堂々と闘う。 それが不自然と言えば不自然だが、作者が田舎暮らしだと聞くと、もしかしたら、こうした 「おおらかさ」 が、田舎にはあるのかな…とちょっと憧れたりもする。 恋愛関係が進行したのかと思うと、次の回には、何事も無かったかのように振り出しに戻っていたり、ほのぼのとした雰囲気が段々と不穏な空気になってきたり、少々行き当たりばったりな印象は拭えないが、不思議な世界観のお陰か、引き延ばし感はさほど無く、なんとなく、いつまでも終わって欲しくないよう気にすらなる作品だ。 【送料無料】町でうわさの天狗の子(1) [ 岩本ナオ ] 価格:420円(税込、送料込)

続きを読む

このブログでよく読まれている記事

もっと見る

総合記事ランキング

もっと見る