雪白の月

2016/10/10(月)22:26

ゆうきまさみ 『 白暮のクロニクル 』…… 「不老不死」 の少年と 大きなヒロインとの絶妙な取り合わせ

漫画・アニメ(346)

★ 『 白暮のクロニクル 』 ゆうきまさみ (2013年~) 電子書籍無料版およびレンタルにて、既刊5巻 読了。 ゆうきまさみさんと言えば、『機動警察パトレイバー』 (1988~94年) が有名だが、丁度この当時、私自身がアニメや漫画から遠ざかっていたこともあり、「ちょっと古いアニメのキャラデザの人」 という印象のまま止まってしまっていたので、数年前にアニメで 『鉄腕バーディー DECODE』 (2008、09年) を観た際、「まだ、一線で漫画家やってたのか」 と、失礼なことを思ってしまった。 その 『鉄腕バーディー』 アニメ版は、絵柄や設定は相変わらずちょっと古くさい雰囲気ながら、世界観が面白く、いつか原作を読みたいと思いつつ、未読のままになっていた。 最近になり、作者の最新作、『白暮のクロニクル』 の1巻を無料版で読んだら、ストーリーも面白いが、ちょっと古くさい絵柄や作風が、逆に すっかり気に入ってしまった。 絵柄やペンタッチ的には、手塚治虫 (後期)を若干スタイリッシュにした感じというか。 シリアスな展開でも、余り深刻になり過ぎず、古きよき漫画らしさに溢れているところがいい。 物語は、「オキナガ (息長)」 と呼ばれる不老不死の人類にまつわるサスペンスミステリー。 身長178センチの厚労省勤務のヒロイン・あかり (26歳) と、見た目18歳そこそこの小男のオキナガ・雪村 (88歳) とが、反目し合いながらも、オキナガ関連の事件を解決していく中で、雪村自身の過去や秘密が炙り出されていく。 この凸凹コンビの二人の関係性も面白いが、脇役のおじさんキャラ達もイイ味を出していて、ちょっとしたやり取りが笑える。 不老不死の人類をテーマにした作品は、萩尾望都 『ポーの一族』 を真っ先に思い出すが、軽い妖怪もの まで含めると既に色々あり、この作品のエピソード自体、それほど斬新というわけではないのだが、キャラの魅力やストーリー運びの旨さで引き込まれる。 『パトレイバー』 や 『鉄腕バーディー』 にも通じるが、ヒロインが強いところもいい。 強いと言っても、男や女王様みたいに態度が強硬というわけではなく、文字通り、体力があって、打たれ強い。『富士山さんは思春期』 みたいに 「デカいけど可愛い」をヘタに強調するわけでもなく、自然体で普通に、めげない女の子を描いている。 まあ、男性読者から見ると、見た目は勿論、性格もニブそうで可愛くないかもしれないが、この作品でも描写されるとおり、背が極端に高いと、初対面でもいちいち 「デカい」 のなんのと絡まれるので、ある程度、ニブくないとやってられないんだよ。 防衛本能としての 「ニブさ」 なんだと思う。 これが、普通に小柄な可愛い女子だったら、なんかよくある 「デキるイケメン探偵と お飾りアシスタント」みたいな取り合わせで、先も見えてしまいそうだが、二人の身長差が コミカルな要素を膨らませるとともに、ミステリーの伏線にもなっているようなので、今後の関係の進展に目が離せない。 <関連日記> 2011.10.17. 慣れれば古臭さも味・・・『 鉄腕バーディー DECODE : 02 』(再) 2012.1.3. 漫画的なアクション表現が良かった・・・『 鉄腕バーディー DECODE:02 』(再) 2012.3.29. 天才は一日にしてならず・・・ 萩尾望都 『 マンガのあなた・SFのわたし 』 2013.3.29. 能天気なラブコメも 行く末を思うと切ない ・・・ 鈴木ジュリエッタ 『 神様はじめました 』 2014.11.28. デカい女に突きつけられる 「好かれる条件」 ・・・ オジロマコト 『 富士山さんは思春期 』 【楽天ブックスならいつでも送料無料】白暮のクロニクル(1) [ ゆうきまさみ ] 価格:596円(税込、送料込) 【はじめての方限定!一冊無料クーポンもれなくプレゼント】白暮のクロニクル(1)【電子書籍】... 価格:540円

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