訃報
2007年9月21日我が家の愛猫たまが死んでしまった。かかりつけの動物病院での不妊手術の為に麻酔を吸引したら10分ほどで心臓が止まってしまったとのこと。蘇生術を幾度となく試みたが、再度たまの心臓が脈打つことはなかったそうだ。担当の獣医師は大変慎重で、施術前に血液検査を実施して肝腎機能を確認、併せてX線撮影により心肺機能も確認してからの着手決定であった。それらをふまえても麻酔が100%安全で無いことは理解してはいたが、どうも原因が麻酔のせいであるとは断定できず“不明”とのこと。えっ?不明?獣医師の十数年のキャリア中、術前の検査をパスしたにもかかわらず、心停止になったのは初の事態だそうだ。にしたって、原因不明とは?研究機関による詳細なる調査を獣医師が申し出てくれたので依頼した。ただし、原因が明らかになってもたまはもどってこない。オレは不幸な猫を一頭でも減らしたいが為に、たまの里親になった。しかし、ノラとして生まれたたまはヒトに保護され、ヒトに貰われて、ヒトの考えにより手術を受けて、それが原因で命を落とした。当初の目的とは真逆の最悪な結末だ。不妊手術は様々な病気のリスクを除去できることもあり、保護ボランティアのかたからも里親になる条件として約束をさせられた。オレも色々調べて、納得しての手術であった。たまに少しでも長生きしてほしい。たまと出来るだけ永く一緒にいたい。そんな思いで手術を受けたのに・・・。もぅ、何がなんだか・・・。ただただ、たまに申し訳無い気持ちで一杯だ。 そして、ペットを失うことがこんなに悲しくツラい事とは想像出来なかった。仕事先でカミさんからの電話を受けた時は茫然自失。 帰宅してカミさんの顔を見た瞬間に涙が溢れてきて、二人で声をあげて泣いた。「寂しがりのたまがどれだけ不安だっただろう?」「前夜から絶食を強いられてお腹が減っていなかったろう?」「痛くなかったかな?」「苦しくなかったかな?」 たまが可哀相で、不憫で、涙が溢れるばかりだ。 夜になり二人で説明を受ける為に病院へ行き、たまの亡骸と対面した。たまのピュアホワイトの自慢のセミロングの体毛は魂が抜けた後も美しく、とても手触りがよく、いつもの表情と同じ笑顔のような頬のあたりを撫でてやると、いつもと同じく、気持ちイイときの「きゅうっ」という微笑ましい声を出しそうなくらいで、その生気を感じさせる雰囲気が余計に涙を誘う。わずか6ヶ月だったたまの命。そのうちの3ヶ月半が我々とたまとの日々。そしてこの111日間は我々にとっては心底癒された極上の日々であった。果たして、たまにとって我々はそして我が家は満足できるものだったろうか?楽しくて、可愛くて、大切だったたまを沢山写真に残せてよかった。写真の中のたまはこれからいつまでも愛くるしくCUTEなままだ。我々夫婦は生涯たまを忘れることができない。機敏で、賢くて、人懐っこくて、模様のユニークな最愛の猫。たまさん安らかに眠ってください。そして我が家はまた猫を飼う。たまの死をムダにはしない。少しでも、不幸な猫を減らしたい。それがせめてものたまへの手向けになると信じたい。