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さすらいの天才不良文学中年

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May 20, 2008
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ウルビーノのビーナス

 一昨日まで国立西洋美術館で開催されていた「ウルビーノのビーナス」展。


ウルビーノのビーナス


 イタリアの国宝とも云われる名画である。先週、時間を創って見てきた。

 藤田嗣治展のときもおいらは会期末だった。混雑これに極まれりという状態だったので、今回も嫌だなと考えていた。しかし、案外、空いていたので、拍子抜けしてしまった。いや、鑑賞するには良かったというべきか。

 さて、このビーナス。女神なのか、生身の女なのか。

 結論から述べると、生身の女である。しかし、よくぞ、ここまで艶めかしい絵を描いたものである。ルネサンスの持つ力である。

 最近のヌード画は、500年前に描かれたこの絵の足元にも及ばないのではないか。それほど身震いのする画である。

 では、何故、これが女神ビーナスと銘打った、生身の裸婦だと断定するのか。

 詳しい解説は学者先生に委ねるとして(養老孟司氏の説が慧眼)、おいらがこの絵を目の当たりにしての結論。

1.実物(たたみ一畳分よりやや大きいか)を見る前までは、ウルビーノは妊娠しているのではないかと思っていたが(腹部がふくよかである)、絵全体から見ると、単なるデフォルメだと気付く。これは肉感を現すためのテクニックである。画家TIZIANO(ティッチアーノ)はスケベなおっさんに違いない。

2.脚が意外に短く感じる。女神であれば、ミロのビーナスのように全体のバランスから脚をもっと長くしても良いはずである。それをわざと生身の人間のように描写した。エロじゃの~。

3.とどめはカメラ目線である。この秋波は只者ではない。一説によれば、当時のフィレンチェの女性の1割は娼婦であり、その中でも最高級の娼婦であった彼女をモデルにしたという。

 ま、そんなことはどうでも良い。

 500年前にこれほどの名画が描かれていたことに驚嘆する我々は、その後の芸術が何と堕落しているのだろうかということに気付かされるのだ。

 ちゃらちゃらした文明は、ルネサンス以降劇的に進化した。しかし、文化は当時よりも確実に退化している。


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Last updated  May 20, 2008 08:53:49 AM
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