カテゴリ:よもやま
最近、昭和初期の風景版画家「川瀬巴水」(1883~1957)にハマっています。
日本全国を旅しながら旅先の風景を描いた作品を数多く残し、「旅情詩人」「昭和の広重」などと言われているそうです。 日本よりもむしろ海外で評価が高いようで、故・スティーブ・ジョブズも巴水作品のコレクターだったらしい。欧米では北斎、広重と匹敵する位置づけとのこと。 興味を持ったキッカケは、巴水作品にワタシが現在居住する「東京都大田区」の風景を題材にしたものが多数あり、それに心魅かれたってところからですが(巴水は大田区在住でした)、普段なじみ深い場所が美しく詩情豊かに描かれているのを見るのは楽しいものですね。 今「大田区立郷土博物館」にて、特別展「川瀬巴水―生誕130年記念―」が開催されていまして、早速鑑賞してまいりました。 なんと「入場無料」ってか!! タダならショボイ展示だろうと期待せずに行ったのですが、いや~、おもしろかった!! いやー、これほんとにタダでエエの? バカ高い地方税払ってるんだからエエのか・・・。 って、ちゃんと納税してる区民なら見なきゃ損やないですか!! 摺りあがった版画作品とともに元になった写生画が並列されており、ある作品の試摺から工夫を重ねて完成品に行き着くまでの全ての版を比べて見ることができたり、34度にもおよぶ摺りの工程を順を追って見れるセット作品など、素晴らしい作品群がどのようにして生まれるのかが見て取れる興味深い展示でした。 画家だけでなく摺師が作品の出来栄えに貢献している部分は多大なんですね。こういう展示を通して摺師のワザがもっと注目されてもよいかと思いました。 巴水作品の魅力は、作者本人いわく「皆様の目の玉の代表となり(中略)その場所に時も日も天候も同じに皆様を立たしてお見せしたい」という「思い」に尽きると思います。 作品と正対していると、昭和初期の日本の情緒が肌で感じられるようで、そんな時期に自分はまだこの世に生を受けてないのに「なんともいえず懐かしい」って心持ちになります。 特別展向けに制作された図録(2000円)も秀逸で、相変わらずド金欠ながら迷わず即買い!会期後のお愉しみも確保しましたが、やはり作品の魅力を正しく体感したいなら、面倒でも美術館やギャラリーに出かけてモノホンと正対したいもの。 ニュースになるような大規模な展示会も悪くはないですが、混雑の中ではなかなか鑑賞に集中できません。その点今回の特別展は「ガラ空き」なのでじっくり堪能できるってもの。 今回の特別展では約500作品を途中の陳列替えを時系列で3期に分けて紹介するとのことで、ワタシもあと2回はお愉しみが残っております。 陳列替えになったらまた出かけて、荒んだ心を癒しに行こうっと(嬉) お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
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