ブラームスはお好き?

2007/01/15(月)23:11

グレン・グールド ベートーヴェン ピアノ・ソナタ No.30.31.32

ベートーヴェン(25)

 答えのない問いかけ、という気がする。  そしてとても孤独だな、と。  別に嘆いてもいないし、  悲しんでもいないのだけど。  もちろん歓びとか幸福からは遠いところにあるのだけれど。  諦観とか、悟りとか、そういう言葉で切り捨ててしまうのは  とても簡単なことだけど、  それはしたくない。  そういう短絡的な言葉は、  この3つのソナタには最も相応しくない言葉だ。  しかしながら、  まだこのベートーヴェン最後の3曲のソナタを知らない人のために、  なにか標題的なキーワードを付けてあげたいな、とも思う。  (「熱情」とか「悲愴」とか、あるいは「葛藤」なんて具合に、言葉を聴いただけでパッとイメージできるような単語を)  でも、あいにくこの3曲に見合うだけの単語は、広辞苑をいくら引いても見当たりそうにない。  かと言って、この敬して愛すべき3曲は、別に難解というわけでもなくて、  メロディー・ラインもしっかりはっきりとしていて、わりと「聴きやすい」曲なんだけど、  これを「理解」しようとすると、とっても難しい。  そんな曲だ。  ここはいったんあきらめて、  「感じる」ことに徹するしかなさそうだ。  この3曲を作曲したときのベートーヴェンの心情と、  この3曲を録音したときのグレン・グールドのコートのポケットに突っ込まれた両手の指のひとつひとつを。

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