北アルプス スケッチ紀行(その5)
涸沢岳、北穂高岳_story(1310) 2008.8.11 1日で2日分の過去日記を更新しつつ、現在日時に到達したいと思っています。8泊9日ー79.15時間の登攀ですが、旅日記としてお楽しみください。その第5弾。第2日目 その2(2008.8.8(金))涸沢岳頂上から北穂高岳を眺望槍ヶ岳までのルートに、大キレット(大切戸)がえぐられ、南岳、中岳、大喰岳(おおばみ)、槍ヶ岳(奥の尖った山)へとつづく。北穂高岳から前穂高岳北穂高岳から、南側正面に、前穂高岳の威容が迫る。涸沢カールは前穂高岳、奥穂高岳、涸沢岳、北穂高岳に囲まれたくぼ地だ。今回の山行きで心がけたこと。1.「注意1秒、1cm」 判断が1秒遅れ、足の位置、手の位置が1cmずれても死を招く。集中力で、常に安全を確保すること。2.5cm以上の石の移動(落石は問題外)を引き起こさない。3.けつまずき、つまずき、転倒を ゼロとしたい。このため、右足、左足を置く位置にある石たちに、「全 体重を委ねられるか?」と尋ねるようにして歩を進めること。次に、その足はスムーズにリリース(その場所から抜くこと)できる位置にあるか、次の歩までの軌跡中、障害物がないか。このためには、すこし大きく弧を描きながら、歩を進める。頭上の枝にも気を付けろ!などなど。雑念があるとだめで、集中力が必要である。都会と同じように歩く感覚から、「足を置きながら」歩を進める意識に切り替える必要がある。第2日目のupは987m、downは1007m、合計2000mのup-downである。up量は、距離に換算して+約10km(upの10倍)。涸沢岳(3103.1m)は涸沢カールの由来となった山で総称としての百名山-「穂高岳」の一翼を担う山である。岩稜であり、草木は一本もなく、鉄梯子、鎖の連続する苦しい登りである。朝かなり遅い出発(an6:00)であったため、登山道は空いていて都合がよい。どんな山も頂上には人が何人かいる。これは頂上に留まる時間が長いため、会う確率が絶対的に高くなる計算である。北穂高岳は大きな2つの峰(南峰、北峰)が有名であるが、大小4つの峰のキレットを越えていくという長大なルートであり、近く見えていても2時間半を擁する。北穂高岳は要塞のような山で、この頂に穂高小屋があり、コーヒがおいしい。東向きの絶景に、テラスが設けられ、天井のコヒーを味わうことができる。展望スペースは鈴なりの人であるが、よくカメラを忘れると見え、降りていった人に「カメラ忘れていません?」と呼びかけていた。50mも降りてしまった人は、「だれか降りていく人に持ってきてもられませんか?」などと声がかかっている。何十万もするカメラであれば取りに帰れといいたいところである。それほど、きつい絶壁なのである。この稜線に取り付く黒い影があった。アルプス行き7つ不思議1.なぜ午後遅く山を歩く? 山は午後は荒れる(落雷、ガス、雨)。午前中の登山を促したい。黒い軍団(後述)は午後7時到着だ!2.岩場ばかりなのに、なぜストックを携帯する?。2本足か手の3点支持で、バランスが取れるのに、4本足で歩こうとするのだろう。低山はともかく、3000m級ではかえって危ない。2つのストックの置き場所にも頭を使う。ストックを漕ぐ手も疲れるのでは?3.なぜストック(トレッキング用ポール)に丸い蓋をしない。・・ピック状のストックの先は突き刺すと深い穴ができ、自然破壊である。リーダは登山者に警告すべきである。4.なぜ、ヘルメットをしない。工場見学ではほとんどヘルメットを被らされる。しかし、もっと危険の多いアルプスのガレ場でさえも、布製の帽子である。小生もであるが。重たいから?5.人はなぜ、のべつくまなくおしゃべりをする? うるさいのである! 下世話な会話は、下界で済ませてきてほしい。むしろ高山植物や自然と会話に重点を置いてもらいたい。6.人はなぜ同じ服装か。雨具は、ほとんどが、黄色いゴアテックスの雨合羽だ。なぜ、同じ服装?7.人はなぜ流行を追う。トレイルランニング用の給水パック+チューブをオバサマが口にくわえていた。似合わない。これは登山マラソン用の道具だ。 山ではリュックを下ろして、休みながら、水を飲んで欲しい。(続く)行程:凡例・・山は青太字。小屋は赤太字。日記部分が茶太字。2008/8/7(木)新穂高温泉(990m)→白出沢出合(しらだしさわーであい)(1320m)→穂高岳山荘(2990m)2008/8/8(金)奥穂高岳(3190m)往復→涸沢岳(3103.1m)→北穂高岳(3106m)→長谷川ピーク(2841m)→大キレット(2748m)→南岳小屋(2970m)2008/8/9(土)南岳(3032.7m)→中岳(3084m)→大喰岳(おおばみ)(3101m)→槍ヶ岳(3180m)往復→西鎌尾根→樅沢岳(もみざわ)(2755m)→双六小屋(2545m)2008/8/10(日)鷲羽岳(わしば)(2942.2m)→ワリモ岳(2821m)→水晶岳(往復)(2977.7m)→水晶小屋(2900m)2008/8/11(月)黒部源流(2380m)→雲の平(日本庭園)(2660m)→スイス庭園往復(2580m)→祖父岳(じじがたけ)(2825m)→高天原温泉往復(2040m)→高天原山荘(2150m)2008/8/12(火)大東新道(E,D,C,B,Aの各沢)(1900m)→薬師沢出合(1940m)→薬師岳山荘(2701m)2008/8/13(水)薬師岳(往復)(2926m)→北ノ俣岳(2661.2m)→赤木岳(2622m)→黒部五郎岳(往復)(2830.6m)→五郎のカール(2600m)→黒部五郎小舎(2350m)2008/8/14(木)三俣蓮華岳(2841m)→双六岳(2840m)→弓折岳分岐(2592m)→鏡平山荘(2285m)2008/8/15(金)弓折岳分岐(2592m)→笠ヶ岳(往復)(2879.8m)→笠新道(杓子平(2460m))→新穂高温泉(990m)map:今回の北アルプス縦走map緑の始点が今回の日記の部分、青は昨日までの部分スケッチ情報:上の絵は涸沢岳山頂から北穂高岳(0° am6:50 Google Earth 地名=槍ヶ岳 スケッチpoint 36.296847,137.646589 (単位は°)(北緯、東経表示では、36°17′48.65" N,137°38'47.72" E))下の絵は北穂高岳山頂から前穂高岳(180° am9:10 Google Earth 地名=槍ヶ岳 スケッチpoint 36.303131,137.652061 (単位は°)(北緯、東経表示では、36°18′11.47" N,137°38'7.42" E))Google Earth(北アルプスが立体で見ることができます):(チルド、パン(回転)させることにより迫力ある3D鳥瞰図が得られます)(Google Earthの検索ウィンドウ(ジャンプ先)に、10進度数、あるいは北緯,東経(E,Nの文字も)を入力(ドラッグしてコピーし貼り付け)し検索ボタンをクリックしますと、その場所に地球儀が周り拡大表示されます。都心部ではくっきり映りますが、山岳部では、ぼやけます。高度が下がっていくとき、クリックすれば止まります。)