ライト層を取り込むには
J1リーグは、2015年から2シーズン制+ポストシーズン制が導入されることが決定。その一番の理由は、ライト層をいかにJリーグに取り込むかということ。もちろん、本当の理由は別にあって。それはお金の問題なんだろうけれど。それを言っちゃぁおしまい。とりあえず、名目上の理由は、Jリーグの価値をいかに上げていくか。Jリーグにあまり関心を持っていないライト層を、どうやってスタジアムに足を運んでもらうかということ。 そのためには、メディアへの露出。特にTV、地上波での放映が必須と、Jリーグのエライさんは考えて。2ステージ制+スーパーステージ+チャンピオンシップとなれば、TVの地上波で放映される。放映権収入も入るという計算なんだろう。おそらくすでにTV局とも話は付いていて。そこから10億円という具体的なお金の話が出てきているのだと思う。 でも、仮に10億円が入るとして。スーパーステージとチャンピオンシップが地上波でTV中継されるとして。それで、ライト層を取り込むことができるのだろうか。今までJリーグにあまり関心を持っていなかった層が、スタジアムに足を運んでくれるものだろうか。 コアな客層は、スタジアムに来ることはわかっている。コアな客層は2ステージ制に文句をつけようが、横断幕を出そうが、結局スタジアムに来るに違いない。だから、コア層は放っておいて、今はライト層を取り込もう。どうやら、そういう目論見なんだろうけれど。 そもそもサッカーにまったく関心のない人は、何をどうやったところでスタジアムに来ない気がする。それは2ステージ制にしようが、スーパーステージをやろうが、チャンピオンシップをやろうが、あまり関係がない。「ふ~ん」というような感じで。いくらTVでやろうが、地上波でやろうが、そもそも関心がないのだから。スタジアムに行く気にさせるのが難しい。 一度もスタジアムに行ったことのない人を、スタジアムに行かせるのは至難の業。どこで何の試合をやっているかを知らない。スタジアムが、どこにあるかを知らない。スタジアムまでどうやって行くのかもわからない。どこに座ればいいかわからない。試合のどこに注目すればいいかわからない。どう応援すればいいかわからない。知っている選手がいない。TVと違って、解説してくれる人がいるわけじゃない。 自分が初めて等々力競技場へ行ったとき、初めて川崎フロンターレの試合を見たときは、まさにこんな感じだった。初めてスタジアムに足を運ぶというのは、そういうこと。やはり0のものを1にするのは、難しい。この層に対してはTV中継がどうとかは、あまり関係ない。 むしろ、誰かに誘われてスタジアムに行くとか。無料のチケットをもらったとかが、きっかけになるような気がする。自分の場合は、多摩川のサイクリングロードを自転車で走っていて。たまたま立ち寄った等々力緑地で陸上競技場を見かけて。何やら人が入っているから、何だろうと思ってスタジアムに入ってみたのがきっかけ。TVを見たからでも、何でもない。サッカーには興味がなかったし、川崎フロンターレというチームがあることは知っていたけれど。何も知らなかった。 次に海外のサッカーは見るけれど、Jリーグは見ないという人。こういう人も、あまり影響がない気がする。彼らは最初からJリーグを見下しているところがあって。「Jリーグは、レベルが低い」とか、「Jリーグは、チームの成績が悪いとすぐに選手のバスを囲む」とか思っている人が多いような感じ。この層にも、2シーズン制やポストシーズン制は関係がない。自国のリーグを応援しなければ、その国のサッカーが栄えるわけがないと思うのだけれど。人は人だから、それぞれ興味の対象も異なる。 もちろん、TV中継が悪いと言っているわけではない。2シーズン制+ポストシーズン制の導入でTV中継が増えるのならば。やらないよりもやった方がいいし、やってお金が入るならば、それはそれでいい。TVでの露出が増えて。Jリーグに興味・関心を見かけて持つ人が増えて。それでスタジアムに足を運ぶ人が増えて。スタジアムが満杯になって。多くのサポーターの声援を受けて。選手が気持ちのこもったプレイを見せて。スタジアムに来たすべてのお客さんが満足して帰る。 今回の2シーズン制+ポストシーズン制の導入が、そういうことに繋がるのなら、自分は何も文句を言う気はない。問題なのは、そうなる保証がどこにもないこと。そうなることに期待が持てないこと。そうなる確率が極めて低そうに思えること。単なる杞憂に終われば、いいのだけれど。はたして。