カテゴリ:ベトナム/VietNam
香港――昨年12月26日のスマトラ島沖大地震とインド洋津波から半年たって、タイ南部の観光地プーケットには徐々に観光客が戻りつつある。
しかし夏の本格的なリゾートシーズンを前に、中国や韓国、日本などアジアからの客足は鈍い。AP通信は、幽霊を怖がるアジア人の心理が、 原因のひとつだと伝えている。 中国文化圏の社会では、亡くなった人の遺体をきちんと弔って埋葬しないと、霊が成仏できず、中には生きた人間に危害を加えることもあると広く信じられている。 香港観光委員会のジョセフ・チュンさんは「海水浴に行こうと思っても、実際に海に入る時になって、こうしたことを気にしはじめる人は多い」と話す。 チュンさんによると、津波から半年たった今も香港市民はプーケットを避けているという。また中国本土や台湾、韓国でも、旅行業者は一様に、 プーケットの人気は回復していないと話す。 韓国・ハンナラ観光のカン・ジュンホンさんは、1月から6月にかけてソウルからのプーケット旅行者は1230人で、昨年の3187人の約6割減だと話す。 幽霊を怖がったり、まだ水に遺体が浮いているのではと恐れる人は多いという。 韓国ではさらに、プーケットでテレビ番組を撮影していた韓国スター3人がホテルで、犠牲者の霊のような声を聞いたという話を、スポーツ紙が報道。 こうしたマスコミ報道が、被災地での幽霊を怖がる心理を煽っている模様だ。 プーケット周辺では約5300人が死亡し、2900人が行方不明となった。被害者の多くは、欧米やアジアからの観光客だった。しかしそれから半年、 パトンビーチの周辺を中心にホテルは再開し、政府も津波警報装置の設置を急ぐなど、観光地としてのプーケット復活を急いでいる。 しかし、地元の旅行業者ジラカン・パッタオンさんは、アジアからの旅行者は激減していると話す。「アジアの人たちは前は単独旅行でもたくさん来ていたが、 今では団体旅行ばかりだ。ひとりで来るのが怖いみたいだ」 パトンビーチのホリデーイン・リゾートホテルは、4月と5月の客室予約数が前年同期に比べて71%も減ったと発表している。国別の減少率は、 日本からの観光客が93%減、中国本土から91%減、香港から93%減だという。 ホリデーインの財務担当ラピーポルン・タボルンさんは「オーストラリアや英国の旅行者は(アジア人のような)心配はしていない。津波は自然災害で、 過ぎたことだと割り切っていて、特に怖がったりしていない」と、民族性の違いを指摘する。 台湾・中華航空の広報担当ジョセフ・ウーさんによると、プーケット行きの旅行者の激減を受けて、同社は直行便を運休にしている。年末まで再開の予定はないという。 「今は代わりに北東アジア、特に日本と韓国への旅行者が増えた。バンコクへの客足には変化はなく、今でも毎日3~4便が運航している。 プーケットだけ、客足が途絶えてしまった」とウーさん。 これに対して香港観光委員会のチュンさんは、直行便がなくなり、バンコク乗り換えが必要になったのも、プーケット旅行の低迷の一因だと指摘する。 台北旅行代理店協会のエリック・ウーさんは、激安価格になっても、プーケット人気は戻っていないと話す。津波前は500ドルだったプーケット・ツアーが今では半値だが、 それでも人気は回復しないという。 ウーさんは、プーケット人気の回復には少なくともあと3~6カ月はかかると見ている。「犠牲者の数があまりに膨大すぎるので、 そういう場所を避けたがる心理的な要因がどうしても働いている」とウーさんは言う。 ■ソース:CNN http://cnn.co.jp/business/CNN200506270010.html お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう
最終更新日
2005.06.27 21:40:05
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