2010/07/07(水)12:59
ベトナムだ。鉄道や発電所、港湾などの大型プロジェクトが相次ぐ。
東南アジアに商機あり、日本企業の進出加速
所得水準の向上を背景に、液晶テレビのフル生産が続く(インドネシアの三洋電機の工場で)=実森出撮影
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20100707-271746-1-L.jpg
主な企業のアジア攻略の動き
http://www.yomiuri.co.jp/photo/20100707-271753-1-L.jpg
日本企業が、東南アジアで生産や営業の拠点を新設、拡充する動きを加速させている。
所得水準の向上で購買層の拡大が見込まれるほか、大規模な社会基盤(インフラ)整備事業も
目白押しになっているためだ。賃金が上昇している中国から生産拠点を分散する動きも目立っている。
◆大型プロジェクト目白押し◆
特に商機が広がっているのが、ベトナムだ。鉄道や発電所、港湾などの大型プロジェクトが相次ぐ。
東京電力、東芝など6社は6日、ベトナムで計画中の原子力発電所などの受注活動を共同で進めるため、
9月に設立する新会社の準備室を発足させた。直嶋経済産業相は「新興国で日本の原子力産業の展開を
官民連携で推進する第一歩」とコメントした。
ベトナムでは、新日本製鉄が2011年から建設用鋼材の生産を始めるほか、
JXホールディングスも製油所に出資を検討している。
一方、パナソニックや三洋電機など電機大手各社は、現地向けに低価格の家電を相次いで投入している。
購買力が高まっている中間所得層の取り込みに躍起だ。
製造業以外の進出も加速している。吉野家ホールディングスは6月、
インドネシアにアジア通貨危機後から12年ぶりに再進出し、ベトナムとタイにも出店を計画中だ。
公文式の教育拠点を45か国・地域で展開するKUMONグループも、
インドネシアでの5月の学習者数が前年同月比15%増となった。
◆中国から分散の動き◆
これまで製造拠点が集中していた中国から、東南アジアなどに分散する動きも相次いでいる。
中国は、ストライキが続発し、賃金の上昇や生産コストの増加が懸念されるためだ。
三菱自動車は、タイに小型車を生産する新工場を11年度中に稼働させ、
東南アジアや日米欧などの輸出拠点とする方針だ。
日産自動車も3月から、世界戦略車と位置づける小型車の生産をタイで始めた。
タイ政府が、低燃費車を生産するメーカーに優遇税制を適用していることも、
日本勢の進出を後押ししている。
ただ、東南アジアでも今後、賃金の上昇圧力が強まる可能性がある。
信金中央金庫の角田匠上席主任研究員は「東南アジアで工場の新築や拡張をする際には、
今後、予想される賃金の上昇と需要の拡大を踏まえ、採算が合うか十分に検討すべきだ」と指摘している。
http://www.yomiuri.co.jp/atmoney/news/20100707-OYT1T00145.htm