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2012.10.23
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注意ですね。

ベトナムへの日本企業進出(現地法人)は11年に過去最多となる件数を記録しました。そして、12年も同様のペースを維持しており、おそらく過去最多の投資件数となることが予想されています。様々な理由からベトナムに現地法人を設立して進出する日本企業が増えています。そして、統計値が発表されていないこともあり、あまり注目されていませんが、この投資件数に「駐在員事務所」の設立件数はカウントされていません。つまり、現地法人よりも多くの日本企業が、実際にはベトナムに進出しています(あるいは拠点を開設せずに、ベトナムとの取引を開始しているケースもあります)。

 弊事務所に年間300件ほど実際にご相談に来る顧客の割合からいうと、現地法人の方が多いというが実感なのですが、現地法人の設立には外資参入障壁があるため、実際に設立手続に入らない、入れない方も相応にいらっしゃいます。それに対して、駐在員事務所の場合、形式要件が整えれば、設立が否認されることはほぼありませんので、弊事務所では100%設立できています。ただし、駐在員事務所の活動には制限があるため、誤解をしているとあとで面倒なことになります。現地の実務に精通した、しっかりとした進出コンサルタントを選ばれることをお勧めします。駐在員事務所の何たるかを知らずに設立されている日系企業も散見されます。

 さて、今回は、割合簡単な駐在員事務所ですが、その設立後に重要となる、ベトナムの個人所得税に関する注意点をQ&A方式で解説させて頂きます。ポイントとなる点は限られており、特に日本人駐在員(主任駐在員)の個人所得税に関する扱いには留意が必要です。ベトナムでの拠点開設について、様々なご質問を頂きます。形態として、現地法人と駐在員事務所でどう違うのかという形態などに関する質問も多く伺います。駐在員事務所のメリット、デメリットを踏まえて、また外国人としての適法な活動(ベトナムの中で日本人コミュニティがより発展するためにも適法な活動)は重要であると考えます。今回は、駐在員事務所と関係が深いベトナムでの個人所得税について、解説させて頂きます。

 
 Q1:駐在員事務所と現地法人の事業目的の違いは何ですか?

 駐在員事務所は、現地法人との大きな違いは、簡単に言えば、営業(役務提供やサービスを含む)や製造(ソフトウェア開発も含む)などの事業活動ができないということになります。つまり、駐在員事務所に収益活動はなく、コスト活動のみとなっています。親会社からの入金(活動費用に応じた金額)に基づき活動することになります。また、その事業目的は市場調査や取引先支援など活動が限定されていることも良く確認しておきましょう。

 実際に設立手続を行えば分かりますが、ベトナムでは「投資ライセンス証」という事業活動許可を貰います。現地法人でも同様に投資ライセンス証を取得する手続が必要ですが、駐在員事務所はもう少し容易に手続が可能です。しかしながら、法的に活動は制限されていますし、投資ライセンス証にも事業目的が限定的に記載されています(当然ですがベトナム語で書かれています)。

 従って、駐在員事務所には売上はありません。親会社以外の入金もないことになります。また、売上はありませんので、法人税もありません(法人格がありません)。実際に多い設立ニーズとしては、現地法人の設立見極めや市場開拓の余地を予備調査する市場調査や取引先支援です。取引先支援とは、ベトナム側から日本本社が資材を調達する際の支援や取引先のサポートなどで、例えば、ニトリ<9843.T>で販売されている木材加工品などはベトナム製も多いと聞きますし、アパレル等の製造拠点も多くあります。

Q2:駐在員事務所と現地法人の税金面での違いは何ですか?

 駐在員事務所はコスト活動のみであり、ベトナムでは、駐在員事務所に関するみなし法人税は現在ありません(他の国では、税制上、みなし課税を設けている国もございますので、今後留意が必要です)。従って、駐在員事務所に関する主な税金面は、駐在員事務所に所属する個人所得税、特に外国人が就任している主任駐在員に対するものとなります。つまり、駐在員事務所は現地法人ほど税金関係について複雑ではありません。法人所得税はなく、付加価値税(VAT)は国内取引について課税されますが、申告等はありません。

 逆に言えば、駐在員事務所に関する個人所得税(特に法的責任者である主任駐在員や所属する外国人に対するもの)は厳密にチェックされるという認識が適切です。実務的にも、ここに関するご相談は多く、また誤解している方も散見されます。駐在事務所設立時に、設立手続きだけでなく税制面のアドバイスも受けられることが望ましいかと思われます。また、日本人のサラリーマンは確定申告を経験していない場合、特に課税義務という認識を通常から意識する機会が少ないためか、個人所得税の関係についてチェックされていないケースも散見されます。





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最終更新日  2012.10.23 23:18:50
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