祖父が他界した。90歳だった。
倒れた日からずっと、お医者さんも驚くほどの回復で、
心臓の補助機を外し、人工呼吸器も外し、
はっきり発音できないまでも、話ができるまでも回復して
「明日からリハビリしましょう」と担当医にも言われた。
その次の日の、急変だった…
10日間、がんばって、
金曜に他界…
「土日に通夜告別式をしたらいい」って
おじいちゃんのしつらえみたいで
湿っぽい雨の降ったお通夜だったのに
告別式が終わった出棺の時間には
さらっと晴れて…
最後の幕引きまで完璧だった、さすがおじいちゃん。
告別式は身内のみ
他には誰にも知らせないで
喪主は長男
花は菊 色は白
旅立ちは紋付き袴で…
普通、紋付き袴の衣装をきちっと着付けできはしない。
けど、来てくれた女性の納棺師さんは
上から下まで実にきちっと気付けてくださった。
ずっと浪曲や能を歌っていた祖父だったから、
紋付きで盛装すると、歌いだしそうだった
それほどに、きれいなお顔、
完璧な姿のなきがらだった。
ふさわしくないかもしれないと思いながらも
何枚か写真を撮った。
納棺師さんは「どうぞご遠慮なさらず」と言った。
「お若いですね、70歳くらいに見えます…」と
おっしゃってた。穏やかで優しげなきれいな納棺師さんでした。
(後から思うと、彼女が完璧にしつらえて下さったお陰で
おじいちゃんは、とってもおじいちゃんらしく旅立てたし
おばあちゃんも後悔の欠片も残さなかった…
とても感謝しています)
入院してる10日間のうち、8日間病院に通った
点滴を入れてたから、手がパンパンに腫れてた。
病室を訪ねたら絶対手をさすって
腫れを引かそうとしてた。
亡くなる2日前、意識が戻って、はい・いいえが言えたとき
「あたし、昨日も手をさすってたよ」って言ったら
おじいちゃん、うんうん…って
「知ってた?」って言ったら
うんうん…って…
麻酔で意識がほとんど無い時も
あたしが病室を訪ねていたのを
おじいちゃん知ってたのね…
それが、あたしとおじいちゃんの
最後のおはなし
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最終更新日
2011/05/25 11:25:31 PM
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