きのう、外回りから帰ってきた上司１号、
書類の山と格闘しとるひいちゃんのデスクの上に
どん!と、段ボール箱…
こら～ッ、書類の上に、荷物置くなッ！
ひいちゃん、それな！
授業で栽培したんやっちゅうて、
となりの小学校の校長先生がくれたんや！
箱の中身は、大量の、イモ…
それも、小石みたいなのばっかり。
ほんで、なんでアタシのデスクに置くかな？
しかも、書類の上に。
それ、やるわ！
…いらんし。
ウチのばあばも、家庭菜園やってるし。
イモ、いっぱいできてるし。立派なヤツ。
こんなんもろても、迷惑やし。
ストレートには言いません。
ひいちゃん、奥ゆかしい日本人ですから。
いえいえいえ、
せっかくですから、
みなさんで分けて持って帰ってもろたら…
言い終わらんうちに、
そんなちんころけなイモ、
みんなどないもようするかいな！！
…アンタ、どストレートやな。
ほんで、
ほれ、ひいちゃん得意やんか～
そんなクズ野菜でカレーつくるの！
それ、褒めとんのか!?って言うか、校長に言うで。
さらに、
楽しみにしとるでッ！
は？ 何を？
また例によって例の如く、
イモだけ押し付けられてカレーつくるハメに…
なんでアタシが、なんでアタシが…
幾度となく反芻しつつも、結局
人参と玉ねぎと肉とカレー粉買うてきた。
アタシの出費の方が圧倒的に多いやん！
こんなクズいもばっかりぎょうおさんもろて！
お肉は、牛スジ。
コレが一番、エエだしが出るんで。
ほんで、とろっとろにとろけるまで
圧力鍋でシバきたおす。
あとはフツーの工程で仕上げるだけ…
おっと、秘密の隠し味、指でも突っ込んどくか。
いや、今日は右足にしとくか。
重たい鍋抱えて出勤。
そして迎えたお昼休み。
ほな、ひいちゃん、よばれるわッ！
一同、一斉に食べ始めたものの、
… … … 無言。
アレ、指突っ込んだのバレたかな。
う～～～ん、今回はイマイチやったんやろか…
って言うか、それやったらそれで、
誰かなんとか言うてぇな。
５分とたたず、一同、次々と
まだ、残っとる？
おかわり、もらうでッ！
やれやれ、今回も★みっつ、いただきました。
けど、またやん…
食後の片付けまでさしていただいて、
もう語る言葉もございません。
けど、ひょっとしたら
くずイモがとろけるすじカレーになったが如く、
このカレーもいつか華麗に焼き肉あたりに変身…
あり得んな。
『タダほど高いものはない』という
身の毛もよだつ実話でありました。
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